JJジュン・リ・ブイ ピアノリサイタルin秋田アトリオン | この辺りの見所の者

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2024/1/8

秋田市街地は吹雪。クルマを出して土崎アパートから市街地のコインパーキングへ。



秋田アトリオン音楽ホールの新しいピアノ、シゲルカワイのお披露目演奏会。ピアニストは、2021ショパン国際ピアノコンクール第6位のJ Jジュン・リ・ブイ。まだ19歳。


行く理由はベートーヴェンピアノソナタ第31番がプログラムにあったから。この曲をプログラムの最初に持ってきたのは能登地震に対する J Jジュン・リ・ブイさんの想いが込められていたのは深読みかな。

1楽章の、やや平べったい抑えたタッチの音色からシゲルカワイは癖の無い大吟醸みたいな音色だなと思えた。他のピアノメーカーの音色と明らかに違う。生で聴いたシゲルカワイのピアノが好きになる。

第2楽章はテンポ走り過ぎに思えた。第3楽章は、音楽の若さが出てしまった。


2曲目のラヴェルの水の戯れ。柔らかな水が戯れているような音色から始まり次第に硬質で流れ出して行く様のタッチは見事で個人的に水の戯れが白眉。

亡き王女のパヴァーヌは悪くない演奏だけど、しっとりと聴かせる曲は若さが出る感じかな。

前半ラストのラ・ヴァルスは圧巻の演奏。グルーヴがあり得ないフォルテッシモでも和音が濁らない響きはシゲルカワイの素晴らしさもあるのかも知れない。打鍵の強さもあるけどピアノタッチコントロールも悪くない。ラヴェルはJJジュン・リ・ブイさんに合っている気がした。


休憩後

ショパンの24の前奏曲。この曲は最後まで集中力を保って聴くのが個人的に難儀な曲。24の様々なショートフィルムを観ている感覚。メリハリのある演奏で次第にゾーンに入って行く。

やはり早いテンポの曲は上手い。若さも出て走ったりもしたけれど。

ラスト第24番の低音の打鍵の繰り返しの深遠さが印象的。重いハンマーでドーンと叩かれたかの様。


アトリオン音楽ホールの聴衆が演奏終了しての余韻に酔いしれていた。



アンコールは優しく明るく。


ラヴェルの演奏が良かった。水の戯れが好みだった。若さも出たけど打鍵の強さと繊細なタッチがもっと洗練されたら楽しみなピアニストになりそうな予感がした。