新国立劇場オペラ ワーグナー ワルキューレ初日 | この辺りの見所の者

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3/11日に関西空港から成田空港に飛んで、東京浜松町のホテルにチェックインしてすぐ、初台の新国立劇場に向かう。新国立劇場オペラを観るのは、2007年ペーターシュナイダー指揮 リヒャルト・シュトラウスの、「ばらの騎士」以来で14年振りのオペラ。


大野和士の指揮も25年振りくらいかな。目当てはフリッカ役の藤村実穂子。以前から観たいと思っていたけど、ようやく叶った。

新国立劇場の3階席の正面4列目の席で、コロナ禍で白の不織布のカバンカバーを渡されて、カバンや服を中に入れる。コロナ禍でアッパス版と言う通常より少ないオケの人数。更に歌手が来日出来ないため、ジークムント役のテノールは日本人歌手が1幕と2幕を2人で分担するという異例の対応。
上演時間が幕間の休憩含めて、5時間半以上。
初めてのワーグナー体験は、集中力が最後まで持つのか。

第1幕のオケを聴いてると、ワーグナーってこんな響きと戸惑い。アッパス版によるオケの人数が少ないからそう感じるのだろうか。強烈な眠気が襲って来た。ジークリンデ役の小林厚子が歌うと集中力を取り戻せる感じのまま、第1幕は終わった。正直なところ、このまま第2幕、3幕と続くなら苦行だと思っていた。
第2幕から、オケの音が変わった。フリッカ役の藤村実穂子の登場で場の空気が一変。存在感、歌の落ち着きと表現力、別格といって良い。能の公演で若手の役者に人間国宝の役者が交じっている感じ。ただブリュンヒルデ役の池田香織も初日の緊張で力みも見受けられたが、魅せてくれる。

ジークムント役は2幕担当の人は何とか形にはなっていたと思う。ヴォータン役のラデツキーも抑え目の出から次第に存在感を強くしていく。ヴォータンとフリッカの夫婦喧嘩の場は、能の問答のような感じを受けた。フリッカがヴォータンをやり込めるという場は、卒塔婆小町の僧と老いた小町の問答のようであった。第1幕と第2幕は同じ指揮者、同じオケなのかと思うくらい激変していた。

第3幕でも2幕の好調を持続。アッパス版の弦の少なさをティンパニの激しさでカバーしていたのが効果的であった。ラデツキーと池田香織の見せ場で最後まで魅了された。第2.3幕は眠気は一切無かった。

コロナ禍という世界的に危機的状況の中で、ワーグナーのワルキューレ上演は、歌手は来日出来ない、オケはソーシャルディスタンス、ジークムント役は日本人歌手2人で分担と異例付くめであったが、それでも上演にこぎつけた芸術監督の大野和士氏や歌手の方々、スタッフ一同に感謝したい。初めてのワーグナー体験としては上々であった。


このブログはワルキューレ全公演終了後に書いていますが、楽日に振った城谷正博氏の評判が良かったらしいので、いつか城谷正博指揮のワーグナーを観てみたいものだ。