宝塚の組の特徴を簡単にいうとき、こんな表現があります。
芝居の月組
ダンスの花組
日本物の雪組、、、
最近は、コーラスの宙組も出てきましたね。星組は、固定フレーズというより、全体のエネルギッシュさやキラキラ感を言われることが多いでしょうか。
しかあし!
わたしは、見てほしいのです。
雪組のダンスを!
個人的思い入れと偏見で書きますので、誤認や異論もあるかと思いますが、軽く流し読みできるかたは、どうぞ。
---------------------
雪組の、特に男役さんのみの群舞、これがすごくかっこいいんです。
だれが上手、とかではなく、全体の動きや角度、キレがそろっていて、フォーメーションの動きもばっちり。
群舞だからあわせるのは当たり前、と、思われるかもしれませんが、雪組さんのはほんと、「ばしっ」とそろっていて、うわーーーー、キレイ!カッコイイ!!!となるんです。
ユーネクストで配信中の「Music Revolution(19年雪組 東京)」を見てみて下さい。
彩風さんのジャズのシーン、永久輝さん率いるダンス選抜組のバレエ連続回転、そして、ラストの望海さんをセンターとした大階段の黒燕尾!
この大階段黒燕尾は狭い階段に大勢が並ぶため、派手な動きはできません。すくないスペースでキリーっと動きをそろえることで、かえってすごくかっこいいんです。シンプルな黒燕尾が、さらに引き立つ。
大階段での男役さん群舞は、もはや宝塚の定番ですが、これはなかでも抜群。
ダンスの花組も、芝居の月組も、わりと個人技術の高さで言われているような気がするんですよね。
花組さんは、もちろんトップの柚香さんはすばらしいダンサーだしスタイルも抜群、最近異動されましたが水美さんも身体能力がすごい。月組は、月城さんのセリフ力がとんでもないし、下級生まで個別の役作りにこまかいこだわりがしっかり見られます。
でも、、、、これって「個」。
雪組は、組全体で一丸となってステージをつくる力が優れているように思います。
日本物の雪組、といわれますが、日本物って難しいんですよ。
衣装も体を制限するし派手なダンスはやりにくいし、表現力を問われる。
最初にびっくりしたのは、「忠臣蔵」でした。
こんな演目を宝塚で???っていうのが、雪組は多いですよね。
忠臣蔵もほんとにそうだと思います。
討ち入りの場面、宝塚をみていて初めて「こわい」という感情がうまれました。
迫力があって。
ベルばらのバスティーユのような、軍服ダンスかっこいいーーー、とかじゃなく、殺陣をとりいれてめまぐるしく人がいれかわり、吉良邸内を走り回る浪人たちの踊りは、ほんとに鬼気迫るものがありました。
エリザベートも、いまや定番ですが、あの暗い死の世界に沈んだ世界を3時間にもわたってみせきる演目を、初演であれだけ成功させたのは、もちろん一路真輝さんの至宝歌唱力もありますが、全員が世界観を共有して団結してとりくんだ結果と思います。
エリザベートのフィナーレ大階段で、男役ばかり大勢での群舞があったと思いますが、あのときもシンプルな青燕尾にシャープな動きとばっちりのそろいで眼がくぎ付け。あれで、大階段での男役群舞の定番が強まったんじゃないかと思うんですけどーーー
こういう団結して世界観を作り出す、全員の一致した思いというのが、雪組は強いなあと感じます。
だから、結果として難しいといわれる日本物のできあがりが優れ、「日本物の雪組」といわれるようになったのではないか、というのがわたくしの勝手な推理です。
まあ、推しだから余計かもしれませんが。
これが「るろ剣」や「ルパン三世」につながったんじゃないかと。
るろ剣のプログラムみて、月城さん演じる忍者 四乃森の手下の3人の写真が、またびっくり。
普通、ブロマイド的に「かっこいい」写真を撮るじゃないですか。
忍者のこわいメイクのまま。どちらかというと、醜悪な、おどろおどろしいこわさのあるメイクなんです。
めちゃくちゃこだわりを感じました。
その後の壬生義士伝やフォルテッシモ、蒼穹の昴も、なかなかしんどい世界観のおはなしですが、しっかり作られていて、見ごたえがありました。
群舞での目を見張る全体のパワーとか美しさって、雪組をみると、「やっぱ雪組だな」と思う事しきり。
推し組だから、かな、笑
花組だと柚香さんや水美さんばっかりオペラグラスに入れてるから全体をみてない、という可能性もありますが、柚香さんや水美さんより好きな彩風さんをみながらも、雪組は同時に全体にめがいくのです。
雪組、すきだなーーーー。
そういう視点でみてみるのも、また面白いのではないでしょうか。
ちなみに、ユーネクストでは「Music Revolution-New Spirt(20年雪組 東京)」も配信中。
これは、次期トップがきまった彩風さんの全国ツアー向けに改作されたもので、シーンや音楽の差し替えも多々。メンバーが少ないのとセットで大階段がないのでコンパクトな感じですが、彩風さんを盛り上げようと団員が一致して熱いパワーがみなぎっています。彩風さんもかっこいい!朝美さんもめっちゃいい場面多し。
ときどきびっくりするくらいほかのメンバーの歌がずっこけますが、慣れると愛着がわくのがふしぎ。これはひいきか。でも、あの歌うまトップのだいきほさんがいない間にあの感じでは、帰ってからおふたりに怒られるのでは?とも思った。
群舞のよさで見るなら、やはり人数が多くてセットの大きい、「19年」版がオススメです!