『この美しい画像が何か、わかるのは、女性客だけ』と、銭湯のフロントのオヤジさんは、教えてくれました。


この画像は、玉砂利を使ったタイルですが、女風呂だけに使用されているからです。


浴槽の底を覗けば、この美しいタイルを見ることが出来ますが、男湯では、使われてないそうです。


なので、Twitter(X)で、ポストした後、反応があったのは、女性だけらしい。


古い建物で、このような花のモチーフのタイルを見た気がして、懐かしく思う人もいれば、初めて見て、きれいだなと感じる人もいるでしょう。


画像だけ見た人には、それが何かわからないので、美しいと思っても、ただのイラストとか、デッサンぐらいに感じて、過小評価してしまうのではないでしょうか。


町中の銭湯は、週替わりで、男湯と女湯を変えるところが多いのですが、松の湯さんでは、今のところ変えていないことが、わかりました。


初めて訪問した時、リニュアルして、おしゃれになったと評判の通り、スタイリッシュさに驚きましたが、洗い場の椅子が固かったり、水風呂の動線が熱い湯の露天風呂から遠かったり、ちょっとしたことで、居心地を損ない、スタイリッシュさと寛ぎやすさの両方は得られないものだと、がっかりしたのも事実です。


しかし、壁のタイルは、美しい紺色で、まるで、深海にいるようで、落ち着けます。


浅い温湯と、深い温湯は、腰掛けると水面がちょうど首の辺りにくる設計は、たまたま、私の体にジャストフィットした偶然かもしれませんが、湯船の底の花模様のタイルは、女湯に入れば、平等に見ることができる癒しのビジュアルです。


水面が揺れると、浴槽の底の花もゆらゆら。

天井からポタリも水滴が落ちれば、水面に広がり、静かさの中、時間の移ろいを感じます。


水風呂も浅めの温湯も、両手を広げられる広さが、気持ちいい。背中を丸めて、肩をすぼめて歩いていた日常から、ひととき、解放されます。


深め温湯から滝のようにお湯が、浅め温湯に流れ出る時は、子供だけでなく、大人も、はしゃぎたくなる、ちょっとしたアトラクションのようです。


露天風呂は熱い湯とはいえ、露天風呂なので、頭は冷えて、気持ち良い。整い場所の腰掛ける場所もあるので、のぼせれば、そこで一休み。


露天風呂に、ジェットバス。ボタンを押せば、一定時間楽しめます。人が居なければ、ジェットバスしないで、静かに温まってもいいし、無限にジェットバスの独り占めも出来ます。


洗い場のカランからは、洗面器一杯分が丁度よく、満たされます。シャワーの位置も良い塩梅なので、洗髪で、無駄な水を流さない。備え付けのシャンプーとボディソープは、目立たぬように備え付けられています。タオルを引っ掛けるホックもあるので、濡らしたくないタオルをかけることができる。


至る所に思考が凝らしてある。

お湯の温度も程よくて、温湯、水風呂、露天風呂の熱い湯、水風呂、深め温湯、水風呂、浅め温湯とループです。


あまりの気持ちよさに、少女は、水風呂の水を飲みたいと言い出したり、4〜5才の男の子は、オシッコー!と言い出したり、他人もヒヤヒヤすることは有りますが、非日常の空間を誰もが楽しんでいます。


海底なのか、深海なのかと思う非日常。

いや、ここは銭湯。デザイン銭湯。


脱衣所にでれば、フロントからオヤジさんの『はいよ!』と掛け声のような相槌が聞こえ、この銭湯の仕掛け人の存在を確かめられます。


東西線の落合駅から近いので、足も向きやすい。

近くに、お気に入りのご飯やさんを見つけられたら、もっと頻繁に行けると言うのに。