↑のつづき。

さて、高松市街でのお仕事も無事終わった為、神社巡りを再開します。


高松市街からバスで約26分、「健康ランド」のバス停で降り、北向けに歩く。



景色はガラリと変わり、海に面した「屋島」という地域にやってきた。


屋島は、江戸時代までは陸から離れた島だった。

江戸時代に始まった塩田開発と干拓水田が後に埋め立てられて、陸続きになったのだそうな。

「屋島」と言えば、源平合戦を思い浮かべてしまうが、屋島の南嶺山上部で発見された『屋嶋城』は、白村江の戦いがあった時代のモノ。

なんと、7世紀頃のことである。



向こうに見える鳥居が目的地。



そして、たどり着いたのは、
『鵜羽(うのは)神社』である。

雰囲気からして、海沿いの神社という感じだ。


手水舎に可愛らしい狛犬。


拝殿。

『鵜羽神社』

鎮座地 香川県高松市屋島西町
創建 不明
祭神 鵜茅草葺不合尊




屋根の上には飛び狛犬。

今にも動き出しそうな…



横から本殿。


本殿右側には境内社。


地神社。






近くの浜からは、瀬戸内海に浮かぶ島々が見える。

女木島や男木島。 

ここから船に乗って上陸してしまいたい。

女木島と言えば、鬼の伝承が有名であり、数時間前に参拝した田村神社には、吉備津彦(桃太郎のモデル)がいらっしゃった。


しかし、ワタシが当社に来たかった理由は、別にある。

鵜羽神社付近にあった案内板をご覧あれ。


なんと、この地は初代神武天皇の父
『ウガヤフキアエズ』生誕の地なのである。

九州のはずだけどな…と思っていたが、調べてみるととても面白いことがわかった。

まず、昔は島だった『屋島』は、元々『八尋島』と呼ばれていたのだそうな。

『八尋鰐』とは、ウガヤフキアエズの母『トヨタマ姫』が出産するときの姿。


↓の地図をご覧あれ。
※Google Mapに手を加えてみた



男木島の元の名は『大姫島』。
島内には豊玉姫神社があり、大姫ことトヨタマ姫が祀られている。
同じく『加茂神社』にはトヨタマ姫の夫『山幸彦』が祀られている。

女木島の元の名は『姪姫島』。
島内には豊玉依姫神社があり、ウガヤフキアエズの妻でありトヨタマ姫の妹『タマヨリ姫』が祀られている。
同じく、荒多神社には鰐が祀られている。


さらに、男木島女木島に連なるように、男木島の北方には『豊島』があり、姉妹の父神である、
綿津見豊玉彦(オオワタツミ)が祀られていた。


男木島の西方には、『大槌島』と『小槌島』があり、この二島の辺りの海は、槌ノ戸と呼ばれ、山幸彦を竜宮城に案内した『塩椎翁(シオツチ)』が現れた場所なのだそうな。

そして、男木島の豊玉姫神社の鳥居は西方を向いている…つまり故郷の竜宮城が見えるように配置されているらしいのだ。


そう、『大槌島』と『小槌島』の間には『竜宮城』があるという伝承が残っているのである。


さらに、高松市の南には、三石神社と総称される神社が三社あり、三社全ての祭神にタマヨリ姫がいる。




三社は、ほぼ正確な正三角形の位置に鎮座している。

それぞれに神が宿る不思議な石が安置されており、石は全部で4つ。

残りひとつは、鵜羽神社沖の海中にあるとされ、大きな磐座『鰭(ひれ)石』が眠っているのだそうな。


さらにさらに、鵜羽神社から南に進むと新川があり、新川沿いを南東に進むと、
鰐河神社と和爾賀波(わにかわ)神社という
神社が鎮座しており、祭神はやはり、
トヨタマ姫である。

社伝によると、トヨタマ姫が鰐に乗ってこの地に上陸したのだそうな。

つまり、ウガヤフキアエズを産んだ後、川を遡ってやってきたのである。

そして、鰐河神社の西南には天空鳥居のある竜王神社が鎮座している。



高松には、ウガヤフキアエズに関連する伝承が多く存在するのである。

こんなに良くできた神社の配置や伝承を聞くと、「ホントウにこの地でウガヤフキアエズは産まれたのではないか」と思ってしまう。


前述した通り、男木島の豊玉姫神社の鳥居は西を向いている。

春分と秋分には、男木島から見える夕陽が、ちょうど大槌島の山頂から沈んでいくという。


さらに、豊島から真西にある岡山県玉野市には、トヨタマ姫を祀る『玉比咩神社』。

反対の真東には小豆島の『玉姫神社』。

以上の神社を地図上でみてみると…




壮大だ❗

ロマンですね~。





千葉県には『鵜羽(うば)神社』があり、祭神は茅葺不合命、豊玉姫命、彦火火出見命の三柱。

「うば」は「産屋(うぶや)」であり、ウガヤフキアエズの妻『タマヨリ姫』は、「乳母(うば)」でもあった。

四国の忌部氏は黒潮に乗って房総半島に渡り、北へ北へと開拓していった。

ウガヤフキアエズの伝承を持っていったと考えれば、なにも不思議なことはないのである。

阿波(あわ)⇒安房(あわ)。


そして、トヨタマ姫の一連の伝承さえ、此度の旅の伏線であったことを、この時のワタシはまだ知らない。


つづく。


ではまた❗

参拝日2023/01/31



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