メールを見た私は、あわててサークルスクエア(連絡用サイト)を見ました。
すると、2日前に欠席の書き込みをしたことになっていました。
だったらその時点で連絡しろよ。
また、ママさんブラスの活動は趣味だから優先順位が低くなるのは仕方ないけど、せめて「これこれこういう理由で出られなくなりました。」くらいの言い方はないの?と腹立たしく思いました。
イラつく気持ちをおさえて冷静に、「欠席するのは了解しました。ただ、サークルスクエアはいつ見るかわかりませんので、2日前に書き込みしたようですが、その時点で連絡いただきたかったです。」と返事を送りました。
相手は「すみませんでした。」と返信してそれっきり音沙汰なく、練習にもまったく来なくなりました。
1週間前になって依頼演奏を断るわけにもいかず、しかも本番前の最終練習を2日後に控えていたので、クラリネットパートの穴埋めを急いで何とかしないといけません。
こうなったら仕方がない。荒技を使うとするか。
中学、高校、市民バンドでサックスをやっていて、アルトサックスを所有している私。
クラリネットのパートを急遽アルトサックスで演奏することにしました。
が、しかし、ここで問題が。
B♭管(楽器のドの音が実音でシ♭となる)のクラリネットの楽譜は、E♭管(楽器のドの音が実音でミ♭となる)のアルトサックスではそのままでは使えません。
クラリネットでド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ド、と吹くところをアルトサックスでは、ソ、ラ、シ、ド、レ、ミ、ファ♯、ソ、と吹かないといけなんです。
演奏する曲は6曲。
6曲分も楽譜を書き換えするのか…とうんざりしました。
それで楽譜をチェックしていると、いくつかの曲はE♭クラリネットのパート譜があったので、それを利用することに。
がっつり書き換えするのは2曲分ですむことが判明したので、急いで楽譜の書き換えに取りかかりました。
あとは一部修正したらなんとか使えそうでした。
楽譜ができたところで、アルトサックスで6曲分ひととおりさらって、2日後の練習には何とか間に合わせましたわ。
本番は、フルート1人、ソプラノサックス1人、アルトサックス3人、テナーサックス1人、ユーフォニウム1人、パーカッション1人、8人中5人がサックスという、サックス率62.5%の編成で乗り切りました。
あるお客さんからは、「編曲が素晴らしかったです。」というお褒めの言葉をいただきました。
「演奏」でなくて「編曲」かいなと微妙な気持ちになりましたが、吹奏楽をやってた人から見ればようこんな組み合わせで演奏したなあと思うんでしょうね。
人数が少ないながらも出演を快諾してくれたり、楽譜の書き換えを手伝ってくれたりしたメンバーのおかげで、何とかこの年の演奏依頼をこなすことができました。
ギリギリの人数で楽器も足りない中で本番をこなしたせいか、何人かのメンバーから「本当は自分も出たかったけど、出られなくてごめんなさい。」という声をかけてもらいました。
代表者の友達も復帰して、その後は前年から始めた自主コンサートに向けてがんばろうという雰囲気になってきました。
それからだんだんと人数も増えてきて、演奏依頼も増えてきて、翌々年にはメンバーの紹介で指揮者の方にも来ていただけることになりました。
指揮者が来たことでますます活動も盛り上がり、今はとてもいい感じのバンドになっています。
本当にあの時、あきらめなくてよかった……今つくづく思います。