舞台 UDA☆MAP 魁☆パラダイムシフト 雑感 | モノノフLv.1のブログ

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はるか40年以上前の薄れゆく記憶を探してみると、小生の土曜日といえば、昼に学校―当時は土曜日は午前中は登校日―から帰ると、テレビを点けて「笑って笑って60分」を視ていた。そこから、あれ?あまり記憶ないなあ、寝てたか時には出かけたかしていたんだろうが、気がつけば夕方。そして家は19時前後が夕飯で、その時に点けたテレビが「タイムボカンシリーズ」だった。

そんな昭和のテレビっ子のノスタルジーをくすぐる舞台作品が、あの宇田川美樹さん主宰のUDA☆MAPにおいて、ここ、

大塚は萬劇場で上演された。その名は、

 

魁☆パラダイムシフト

 

小生のUDA☆MAP歴は、3Bjunior出身の葉月智子・ちょもの出演作品「サンサーラ葬送入門」という舞台を観た時に、なんと面白く、アドリブ盛りだくさんに、でもセリフがセリフでないように普通に発せられているという、なんと素敵な役者さんだと宇田川さんを認識した後の「ガールズトークアパートメント」からという4年3作品程度だが、なんと来年で15周年を迎えるというUDA☆MAP。その中で今作は、上述の「タイムボカンシリーズ」をプロットに、これまでの作品同様、女性役者さんを集めてドタバタと笑い、ときにホロリと喜怒哀楽を盛り込んだ群像劇であることに加えて、初の音楽劇、つまり劇中で実際に役者さんが歌唱を披露するというシーンもあるということで、この点は、出演者に元アイドルグループで歌手活動をしていた人もいて、そのファンにとっては、かつての推しが歌い踊っていた頃のノスタルジーをくすぐるという、懐古作品にもなっていたね。上演時間はおよそ2時間、脚本演出は、その宇田川さんと公私を渡り歩んでいる、ご存知松本陽一さん。

 

超雑あらすじは、時はおおむね30世紀前後、悪という概念が滅びた社会において正義を維持してゆく企業「ジャスティンコーポレーション」に突然、evil値(悪の指数らしい)が800を超える存在を確認する緊急通報が入電される。普段は清掃パトロール員だが、実は正義の味方として訓練を積んだタケル(小林未往)とケメコ(清水凛)は、社の司令官であるエンドウ(松本稽古)とその秘書ナツメ(結城美優)の命を受け、これも普段は人間サイズのアンドロイドロボだが、悪の制圧時は巨大化するという戦闘ロボのプラットちゃん(夏野香波)に乗り込み現場に急行。そこでは20世紀に絶滅したチンピラといういで立ちの女ツッパ(開發美波)とコ―ネリー(道枝咲)が、大学生のトマト(池澤汐音)、クルミ(高橋彩香)、ジャム(加藤瞳)と彼女たちの教授のカンナナ(品川ともみ)、白のスーツを着こなす女性マンゴー(船岡咲)たちを刃物で脅迫している。しかし二人の悪のevil値は30前後、タケルが注意を促すと、天から「やっつけておしまい!」という女の声がして悪の組織、イーブル団が邪悪な巨大ロボで街を殲滅しようと現れる。イーブル団はボスのビビンバ(澄華あまね)、部下のシャベクリン(森岡悠)とズットン(真野未華)が、ビビンバ開発の食べたら悪いことをする薬品を爆弾怪人バックシー(喜屋武蓮)にかけたものを売り捌いて作ったロボで攻撃を開始するが、アームパンチはバネを輪ゴムでケチり威力ゼロ、目線ビームは発射口に汚物がつまり不発で、プラットちゃんにあっさり撃破される。3人はほうほうの体で3連自転車で逃走し、ビビンバは次の手を打つよう命じる。

ジャスティン社では、イーブル団のevil値は測定不能のため、800を超える存在は別にいると睨み、警戒を強める一環として、社のお抱え博士(宇田川美樹)が、新たな戦闘ロボ、歌声でevil値の高い者のこめかみに苦痛を与えるが口は悪いというメイビーワン(夏目恵名)を開発する。そこに、先の出動で救った人質の大学生が就活で来社。ナツメは社内見学を許可するとジャムはロボット整備に興味があるらしくプラットちゃんを眺めるが、トマトは正義の味方に関心があり、タケルとケメコにつきまとう。その時、大学の保護者会だと言って、学生の後に続いて社内を嗅ぎ回る者が現れる。これがイーブル団の3人で、彼女たちは次の手として、ロボを乗っ取ってしまうことを策略したのだ。そして3人はプラットちゃんの巨大化にこぎつけたところで操縦室を占拠する。ジャスティン社はメイビーワンの歌声を駆使して3人にダメージを与え攻撃して3人の追い出しに成功し、イーブル団は再び自転車で逃走し、次は博士の誘拐を計画する。その頃ジャスティン社では先の人質事件の被害者達のマンゴーが、実は大企業のホワイティ社の社長で、エンドウと密談を交わしており、また、教授のカンナナは、その加害者のツッパに、evil値の測定を逃れられる街のある区画に行くよう怪しく笑いながら勧めていた。

博士を行きつけの居酒屋から拉致したイーブル団は、博士に新たな兵器の日替ロボ(栞菜、草場愛、小見川千明、遠藤しずか、舞川みやこ)作成を急がせる。一方博士不在に困ったジャスティン社には、博士が自分のコピーとして作成途上のロボ・博士B(高橋明日香)を完成させたいが最後の薬品が足りない。そんな中、エンドウはジャスティン社地下に厳重管理していた、悪の概念を覚醒させてしまうという力を持つパラダイムストーンを地上へ持ち出す。その話を、トマトら大学生に買わせたバックシーを介して聞いたビビンバは、その石こそ世界征服を可能にするものと信じて、その奪取のためジャスティン社に潜入して、メイビーワンの歌声を無効にする耳栓で対抗して、ついにエンドウからパラダイムストーンを手に入れる。勝ち誇りストーンを掲げると、シャベクリンがストーンに不思議なスイッチを見つける。訝しがる3人。そのスイッチは、実はエンドウが、その力の平和利用の一環で付けたものだが、その取引を持ちかけたのがマンゴーで、マンゴーの真の狙いは、パラダイムストーンの力を自在にできるようにすれば、悪事、すなわちブラックな者を意図的に増やして、悪事による事業での利益と本来のホワイト社のブラック対策の事業利益の増大の二重の利益を得ようとするもので、彼女こそがevil値800の悪の黒幕で、学術的な関心からマンゴーの悪事に助力したカンナナと組み、人質事件もツッパとコーネリーの小さな悪意を利用して起こしたのである。騙されたエンドウは失脚し違約としてジャスティン社はホワイト社の支配下となってしまう。

アジトに戻ったイーブル団が、早速スイッチを押すと、世界がゴゴゴゴ音を立て始める。この音がパラダイムストーンの、悪を誘発する力で、街ではタケルがこめかみを押えて苦痛に倒れ、ケメコが心配する。タケルは前の戦いでメイビーワンが一時的にビビンバらの策略で悪を覚醒させる歌声を聴いた時も頭を痛めたが、これで自分の悪の心に気づいてしまう。タケルは幼い時父親が万引犯などいじめに合い、悪人だと絶望した時に、エンドウから正義の心を植え付けられた過去があったのだ。また、カンナナの言うとおり区画に向かったツッパとともに、悪の手先となる訓練のため地下に潜んだコーネリーも、自分の不幸は13人の弟妹のせいだと覚醒し、さらに夢を諦めざるをえないのは病弱な母のせいだと覚醒し頭を抱えたのがクルミで、トマトとジャムは友を助けたいとジャスティン社に救いを求める。そんな中、博士から日替ロボが操作レバーを残し完成したと聞いたビビンバらは、バックシーにジャスティン社からレバーを盗むように指示し、バックシーはレバーを1本盗むが、ケメコらとの小競り合いの中で、あの、悪くなるという薬品が博士Bに降りかかると博士Bが覚醒して、バックシーは空を飛びビビンバらのアジトへ向かう。翼のあるメイビーワンに乗り込み後を追うケメコ、博士Bとトマトとジャム。しかしわずかにバックシーが先にビビンバにレバーを渡すと、ついに日替ロボも作動すると、動きを止めるべく博士Bがイーブル団を攻撃するが、誤ってパラダイムストーンのスイッチを作動させると、ついにタケルが暴走を開始し、悪の意識が完全に覚醒し新たな境地に達するというパラダイムシフト状態に陥り、タケルはツッパとコーネリーを従え日替ロボに乗り込み巨大化、イーブル団のアジトもろとも破壊して空へ飛びたち消えてゆく。

博士、エンドウに続きタケルまでも失ったジャスティン社では、マンゴーの脱正義の方針か、プラットちゃんの笑顔とメイビーワンの歌声が消え、途方にくれるナツメに、博士Bが脳波で博士と直接交信すると、博士から南国で休止中との返信が入る。あんたは本当の悪ではないとツッパに言われ、ゴゴゴゴで弟妹を憎む自分を知ったことで悪を断ち切る思いになったコ―ネリーに言われたタケルは、お前らに俺の気持ちが分かるか!と怒ったタケルは、街を攻めるために日替ロボを街に向ける。一方三たびどん底に追いやられたイーブル団とエンドウが合流して、一か八かの作戦として、パラダイムストーンの力を最大限に引き出し悪の力をマヒさせて日替ロボを乗っ取るという作戦を画策してタケルらに立ち向かう。そして、タケルの暴走がいよいよ最大化しようとしたとき、ビビンバが、悪とか正義を力に頼るなんて愚かだ!自分でどう生きるかを決めろ!と叫ぶと、メイビーワンが歌声を再開、プラットちゃんにも笑顔が戻り日替ロボと戦うと、タケルもクルミもいつしか正気に戻り、マンゴーがつまみ出されて湖に放擲されると、代わりに日替ロボの操縦席を奪ったのがビビンバたち。この時を待っていたと、日替わりロボで正義の者たちに復讐をせんと動いたその時、燃料切れっす、と全停止の日替ロボ。プラットちゃんの一撃で、イーブル団は闇へと消える。evil値測定不能の彼らは、悪なのか正義か、単なる馬鹿であったのか?答えは誰も知らない。

とある道を進む3連自転車。それはイーブル団の3人。ビビンバは、次はポテトの代わりにチーズバーガーを売って正義を倒そうと奮起するとシャベクリンとズットンは不味そうと嘆き、いずこかへ消えていった。

ちょっと間違っているところもありそうだが、概ねこんな感じ。松本さんの演出は、時系列どおりにストーリー進めないで、回想シーンを再現させたりして、観客側に、お前ら忘れてるだろw、って教授してくれるんだが、なかなか覚えが悪くてT_T。それはともかく、細かいギャグなどもセリフでしっかりと演者に言わせて笑わせようとするので、演者さんは、実際は掛け合う間とか動作とかを考えないといけなそうで、大変だなって思うんだがどうだろう?この辺は、同じ裏被りの「時を駆け抜ける少女2」のように、ある程度アドリブとかハプニングとか客いじりとかで笑わせようという、コメディアンの青木竜象さんの演出と対照的なんだろうけどね(でも、その「ときかけ2」が、その松本さん達の十八番のような、泣きの芝居を観せているのもまた楽しいが、それは別の記事でね)。こういうところが上手かったりの人を、もしかしたら松本・宇田川ペアは見ているのかも?とかも小生は想像しているんだがどうだろう?なんて戯言はおいておいて、昭和の名アニメをモチーフに、たった一つのセットすらコックピットにしたり地下室にしたりと転換させながら、アニメの世界を出来る限り再現して、それでいて、演劇の喜怒哀楽を魅せてくれていて、ご夫妻には本当に、素晴らしい時間をいただいて感謝しておりますと言わずには居られないね。

その夫妻の期待を裏切らなかっただろう役者陣。全員の方のああだこうだは素人の小生、今回はホントに烏滸がましく思うので、今回終演後にチェキを撮る機会があったので、その方々限定で称賛させてもらうとすると、50音順でまずは、

池澤汐音さん。元々は平瀬美里・みぃちゃんの「デッドリー永遠」での、あの高森朝代で始まった小生の池澤さん歴が、気づけば蜂巣和紀さん作品でのコメディエンヌぶりで上書きされているけど、今作は、ストーリーの中では真面目にクルミを思うキャラとして戸惑い悲しみつつ、でも、いかにも女子大生って感じも受ける自然なセリフの言い回しなど、なんか久々に、あの高森を感じられたかもしれないな。7月末すでに買っている、蜂巣さんの「眠る鈴のクリスマス」では、どの汐音を観ることになるのかしら?

高橋明日香さん。この人をどうのこうのが、もう素人の小生が言うのは失礼。今作も、中盤過ぎても、セリフも無く作成途上として吊るされる中で、松本稽古さんや夏目さんに弄られて変顔するだけでも笑わせてくれているのに、薬品を掛けられてからの、うっぷん晴らしのような、そこまで頑張ってきた笑わせ担当の役者さん達の努力を根こそぎ攫うような弾けた演技。初めましての小生の感想に、さらりと、ただ騒いだだけ、と爽やかに笑いながら言ってのけた姿は、ホントに恐れ多かったですごめんなさい。

真野未華さん。こちらももう10作以上拝見しているところからの初めましてで、小生の真野さん評は、最初はアドリブ的に笑わせるのが得意な人って見えていたんだが、実は笑わせるセリフをしっかりと笑わせるように計算して発しているんだという意識の高い人と思えているのね。アドリブ的なのはコミカルな動きなんだろうかな、セリフに合わせて動作を研究して笑いを高めるみたいな、なんかそんな高い技術を魅せてもらえている、そんな気にさせてくれる役者さん。でも、今作のカーテンコールや千秋楽の前説では、あれ?実は天然な人?って感じも見せてくれていて、ビビンバ役の澄華さんが、2回も日替わりゲストの紹介を飛ばして物販告知に進行しようとしたとき、目を見開いて、ちょ、ちょっと、って引き気味にビックリしていた表情が、澄華さんにも笑えたし真野さんにも笑えたしで、本編の笑いを消さないでくれwww。こちらも池澤さんと同じ期間で出演作があるようで、ちょっと買ってしまおうかなあ!?

結城美優さん。今作では、秘書役なので楚々としてしっかりした役で、こちらも笑わせ役ではなかったが、正義の会社の一員らしく嘘をつけないという性格って色付けをしているのか、学生に核心を突かれたときに顔をこわばらせて嘘を言うシーンとか、数少ない笑わせポイントでの奮起が素敵だったw。彼女は、前回初めてサインを貰ったとき(「正典・まなつの銀河に雪のふるほし」)も感じたが、列が途切れそうな時も、結城居ない?居ないね?じゃあね、みたいに元気よくカラリと退場するなど、実に明るいのね。それを直接伝えたら、今作は動きが無くてうずうずしてるの、って正直に話してくれたね。自分が皆さんを元気にして、また明日から頑張ってください、ってメッセージが全身から感じ取れる、素敵な役者さんです。

あとは、これは、この人達が日替わりだという理由だけで、この日の観劇を決めたという二人で、まずは7月4日の日替わりロボの、

草場愛さん。日替わりロボの、セリフらしいセリフは、最後の「燃料切れです」だけなんだけど、草場さんは、サーセン、燃料切れっす・・・て感じだったね。自身のXでは、日替わりゲストが初めてって、この実績でそんなことあるのか!にしても、こんな赤ジャージで遊んでて、アメリアさん、エリザべート様に怒られますがなww。そしてもう一人は、もうホントに沼化しつつある、溺れてはいけないぞの、

舞川みやこさん。もう、オープニングアクトのダンスで、ツインテールを見たとき、舞川さんもこんなするんだ・・・ってのが率直な感想。で、その姿だからだろう、草場さんとは対照的に、実にぶりっ子をフルにかましての「ごめんなさ~い、燃料、切れちゃいましたあ~♡」www。でも、舞川さん、日替わりゲスト飛ばされそうになった時にちょっとプンプン感見せていたので、小生、親方さまも9月「降臨SOUL」でお忘れにならぬようお気をつけなされ!と忠告申し上げ候w。

さて、最後には、やはりというか、あの「サンサーラ」から4年、ようやく直接にお話しすることになった、主宰・宇田川美樹さん。千秋楽でのダブルカーテンコール後のあいさつ、

 

コロナなどがあり、道半ばで終わってしまった舞台(劇団)などもある中、なんとか上演し続けることができた。私たちの演劇が、皆さんの明日の活力となれば幸いです

 

と言われて、小生がお伝えしたかったことを先んじて言われてしまったので、お話することが無くなってしまったが、本当に気が付けば、3Bjrメンバーの出る出ないとか関係なく、観ないとという気にさせてくれて、中小演劇場での舞台観賞の楽しさを導いてくださったのよね。上手くお話で伝えられなかったのが心残りながら、これからも、宇田川さんがお芝居を提供してくれる限りは、こちらも楽しみ続けたいので、また、そのご神体を拝ませてください。

(初めてでかなり失礼よねwww)