第6話 古代人を探して ③ | N/F NO FACTER

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剣と魔法の世界「アスタシア」を舞台にしたファンタジー小説。
謎多き主人公アレルと連れのゼイラ、
その他キャラクターたちの冒険活劇です。
アレルとゼイラ、二人の恋愛要素もあります。

諜報員からやっと伝書鳥で連絡が来た。
さいごの古代人・ジェザは各地を転々としているようで
なかなか足取りがつかめないという。

「らちがあかないから、一番最後に
見かけられた国に行ってみるか。」

アレルはさいごに消息がある
ウィンシャンに一人旅立った。
今回はゼイラ、フォースはお留守番だ。

「いってらっしゃい」
少しでも早いほうがいいとまだ明けぬ早朝、
ゼイラはのんきに寝起きの目をこすりながら
いつもよりアレルの出立の見送りを多少雑に済ませた。
フォースに至っては起きもしない。
いびきだけがかすかに寝所から聞こえてくる。

飛竜にまたがり、アレルはウィンシャンに向かった。
ウィンシャンというのは第1話で触れた
タンジハルと戦争勃発間近だった国だ。
上層部に顔がわれているアレルであるから
多少の気まずさは感じるがこの際しょうがない。

ジェザ=レイドという男は
古代エスタロス時代には魔王を扇動し
世界を支配した宰相だったとか
あるときは画を極め、パトロンに貢がせたとか
ある時代では作家や新聞記者であったとか
集まった情報だけでも役職や肩書は1000にのぼる。
飽きっぽいが多彩な人物であることは疑いようがない。

一番最近では島国ベルクールでヒー=ヤン教という新興宗教と
対立する古くから各地信じられているベ=オラ教の宣教師をしているらしい。
宣教師であるからして、いろいろな場所で講演などをしているようで
国を転々としているのだとか。

とりあえず、ウィンシャンで足取りを探るべく、
聴きこみをすることにした。
「全く信じられない話ばかりする男でした」
「笑顔が素敵だったわ」
「位が高いのに親身だったわ」
「鼻持ちならないやつだ」
「話が長いのにあんなに退屈しなかったのは初めて」

演説を聞いた民からの情報だが
いい印象を持ったものと悪く言うもの
両極端であった。
途中で気づいたがどうやら…男受けが極端に悪いようだ。
女性には好印象に映るという
ジェザはそういう、一風変わった人間らしい。

「たしか、これから南に行くと言ってらっしゃったわ」
宿の女主人が頬を赤らめながら言った。

南…シャハンか、タージ、フォンソンあたりだろうか?
もう少しヒントが欲しい。
「王子が誘拐されて、治安が悪いとおっしゃってたような」
…エドワーズか。

アレルは再び飛竜にまたがり、エドワーズに向かった。
「彼の演説なら、このあいだあったよ」
エドワーズには、もう居ないらしい。
「どこに行くと言ってましたか?」

他にシャハン、アデフ、ザイツ、ロザリアート、リンガイアと
5か国に飛んで、すべてが空振りだった。


「東で大樹をみてくると言っていたわ。」
ルアーガじゃないか…

ライナノーツェまで来たところでアレルは振り出しに戻った。
自分たちがノッヂに会うため出国している時期、
知らぬ間に母国ルアーガで演説を行っていたらしい。
「常に笑顔で堂々とされてました」
メイドのルクエが聴いていたらしく、熱く演説の内容を復唱した。

「で、あきらめたってわけだな」
ゼイラが残念そうに言った。
「また足取りがつかめたらいつでも連絡くれと
トトとカカに伝えたから。」


アレルのジェザ探しの旅は不発に終わった。
また、いつか、どこかで会う機会があるだろう。

その時は、この悔しさを少しでもぶつけてやろう。
アレルはそう心に固く誓ったのである。

そんなアレルをどこかぎこちない様子で
青くなったり赤くなったりして見ているゼイラ。
「俺の留守中になにかあったのか?」
「な、なんでもねーって」
そんな様子のゼイラを不思議に思いつつ。
「とりあえず、美味しいものでも作ってやるよ」
言ったゼイラに「おう、」と返し、アレルはやっと笑顔になった。
それを見て、ゼイラはまた赤くなっていたようだった。
変な奴。

キリキリコロコロビイーン。
威勢良いカワヒラの鳴き声がむなしくその場に響いた。

第6話 古代人を探して ③終わり 第7話に続く

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話がこれから進むに向けて、
国の名前とか情報をノートに書き足しています。

矛盾があったらご愛嬌。

会報SAGA表紙より
天使の羽根をつけた
アレルとゼイラ亜種版。