いつも使うワープゾーンがある洞窟に
最近魔族と魔物が住みついたようで近づくと騒ぐので
しばらくワープができなくて困っているという。
食材は、釣りや野草摘みでなんとかなっているが
このままだとかなりつらい。
なんとか追い払ってくれないか?ということだ。
そんな時、食材を惜しまず料理してくれた
事がとてもありがたい。
そのお礼ということで魔族との接触を試みることになった。
キィルはナイフくらいは操れるが
相手が複数なので歩が悪い。
そこでちょうどやってきたアレルたちに助太刀が
頼めないか?との申し出であった。
「僕は剣技ならなんとか」
アレルは中空から刀を取り出す。
「俺もナイフなら。」
フォース」がナイフを抜き、構える。
「オレは体術を少々」
ファイティングポーズのゼイラ。
「じゃあ、4人で行こうか。」
砂浜に船を待たせている。
アレルたちは一旦船に向かい、船員と船長に
事の次第を説明した。
「なるほど、ワープゾーンですか」
「はい、申し訳ないのですがワープゾーンが
無事使えるようになれば知らせに来ますので
それまで待機をお願いします。」
「わかりました、お気をつけて」
船長は承諾してくれたのでいざ、洞窟へ。
「しかし、魔物ってどんなやつなの?」
ゼイラが気軽にキィルに話しかける。
「ぶよぶよの紫色のスライムさ」
「げ!スライムか…」
「それと、魔族らしきやつらが二人。」
魔族がふたり?
魔族というのはほぼ、残党が残っておらず
薄く血を引いた子孫が残るばかりと思っていたがまだ居るのか…
アレルがそんなことを考えて歩く。
そんなこんなしているうち、洞窟の入り口にたどり着いた。
「ここだ」
キィルが3人を促す。
静かに洞窟に足を踏み入れる。
今は特に、スライムや魔族の気配はない。
「とりあえず、奥に進んでみよう」
アレルが小声で言う。
「アカ!」
ぎくりとするパーティー。
なんと、少し洞窟を入ったところで
洞窟の入り口から魔族の一人がどこからか
戻ってきたところに出くわしてしまったようだ。
「エスパーダニーノ?」
アレルが魔族語で話しかける。
「シェレルエスペネーノ」
会話が成立している。
アレルがごそごそとポケットから薬草を
取り出して渡した。
「エスキエス」
どうやら、この魔族たちは悪いものではないようだ。
魔族にもいろいろいて、全員が悪の手先ではなく、
逆に人間にも一部闇に足をつっこんだモノタチが居る。
世の中そういうものなのだ。
紫色のスライムは魔族たちがペットにしていて
過って毒の沼地に入ってしまって毒で苦しんでいた。
さきほどアレルが渡したのは毒消し草だ。
キィルは魔族語がわからなかったので
スライムをなんとかしてくれという二人の会話が
スライムをけしかけたと勘違いしたのである。
その後、アレルはキィルと魔族二人(どちらもまだ10ほどの子供であった)
の通訳となって洞窟に住むのはかまわないが
穏便にワープゾーンに通してほしいと説得した。
事態は解決した。
「さて、じゃあワープゾーンに行こうか。」
「おう。」
キィルとはワープゾーンの前で別れた。
「このたびはありがとうございました。」
「いえ、お役立てて幸いです」
「このお礼は後日させて頂きます。」
「ティオに料理旨かったって伝えてくれよ。」
結局、サザンの占いの目的のもはなんだったのであるか。
キィルとティオ。二人のエルフの兄妹に出会えたこと。
今後の展開に関係するかもしれない。
ワープゾーンから、ターラシアに戻った。
「さて、帰るとしようか。」
ワープゾーンの出口は細い通路の袋小路である。
もし、またあの兄妹に用があるときは
ここから行けばよさそうだ。
アレルは、中空から出現させた地図に印をつけた。
3人は飛空艇に乗り込み、ルアーガに向かった。
「あ!」
「え?なに?」
「船!」
砂浜で待たせている、船への連絡をすっかり忘れていた。
時すでに遅し…アレルはさっと手紙を書くとあわてて伝書鳥を放った。
指に着けていた指輪をお詫びとしてオマケにつけた。
伝書鳥はばさばさと羽音をたてながら、
ターラシアから兄妹の島に向かい、飛んで行った。
申し訳ない気持ちと、かなりの価値のあるお宝のリングを携えて。
どんどん遠ざかっていく鳥を眺めたあと
アレルに目をやる。
アレルもこちらを見ていた。
二人の横顔が夕日に照らされていた。
「へへっ」二人は笑いあった。
第5話 終わり、第6話に続く…
***
第5話は②までで終了です。
これから、またいろいろな人物が登場します。
それぞれがどんな動向とつながりをみせるか
どうぞお楽しみに。

会報SAGAから。かんたんに描いたキィルとティオ。
(後ろの人物もそのうち登場予定。)