今はほとんど行われませんが、患者さんに治療行為を行う際、実際には薬理作用のないプラセボ(偽薬)を投与しても何らかの治療効果がえられる現象をプラセボ効果(反応)といいます。
「プラセボに対する期待感」だけで治療効果が得られるプラセボ効果の作用機序には、高次元の心理活動による内在性の脳機能の活性化が関わっていると予想されますが、その詳しい神経生理生化学的基盤は解明されていませんでした。
理化学研究所の国際共同研究グループは、ラットで「プラセボ効果」を再現し、プラセボによる鎮痛効果に前頭前皮質と中脳水道周囲灰白質(PAG)のミューオピオイド受容体のシンクロ二シティ的共鳴(?)が関与していることを明らかにしました。快挙です。
本研究成果により、今後、心理活動だけで内在性の脳機能を活性化するプラセボ効果の作用機序を、ヒトではなく動物実験で詳細に解析できる可能性があります。
私はプラセボ反応で治るのが本当の治癒だと思っています。
Zeng Y., Hu D., Yang W., Hayashinaka E., Wada Y, Watanabe Y., Zeng Q. Cui Y.L.,
" Analysis of Neurobiological Mechanisms in Placebo Analgesia in Rats"
Neuroimage,10.1016/j.neuroimage. 2018.16.009