<意識>とは何だろうか (A-14) | 松野哲也の「がんは誰が治すのか」

松野哲也の「がんは誰が治すのか」

治癒のしくみと 脳の働き

 私たちは物質的な現実を事実として受け入れますが、量子の世界ではすべての可能性が「重ね合わせ」として同時に存在するし、やがてその可能性がより起こりうることへと集約されます。

 

 理論上は可能性のある波の中に存在している無限の可能性すべてが現実となりうるが、その中のたった1つだけが現実となる。同時に存在していた可能性は、ある現実が実現すると消滅してしまう。数多くある可能性を崩壊させ、現実がどちらに進むかを決めている要因の1つが「観察」という行為なのです。

 

 

 物質が事実上できあがるには観察者が必要であるという発見は、「物質界」への理解という点からも、物質界に存在する「物質」を創り出す「意識」の役割りからしても、興味深いと言えるのではないでしょうか。

 

 

 

 

 今でも量子力学の謎である「2重スリット実験」について再度ふれてみましょう。

 

 過去1世紀にわたって繰り返されてきたこの実験では、観察者が観察の結果にどう影響を与えるかが説明される。

また、電子や亜原子粒子は、物理法則に従ってその振る舞いが決まるはずであるが、2思スリット実験で、観察された素粒子が振る舞いを変えることで常に物理法則に則っているわけではないことが証明される。

 

 

 

 実験では、スリットの2つ空いた壁に向かって1つの光子(フォトン)が発射され、その光子がスリットの向こう側の壁(スクリーン)にどう到達したかが記録される。

 もし光子が粒子(テニスボールのような物質)としての振る舞いをするのであれば、1つのスリットを通過してスクリーンに届いた光子が作り出すのはスリットと同じもの。

 1つの光子を電子を2つのスリットに向けて発射したらどうなるだろうか。まるでいくつかの光子が2つのスリットを同時に党通り抜けたかのように、波が干渉しあった「干渉縞」と呼ばれる濃淡の縞模様のパターンができます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 けれども、スリットの近くに検出器を置いてその様子を観察すると、光子は波ではなく粒子と同じような動きをして干渉縞をつくらない。観察されないままの亜粒子レベルの光子(フォトン)や電子(エレクトロン)は波動のように振舞います。

 つまり、観測するという行為が実験結果をまったく変えてしまい、波動は粒子に、エネルギーは物質になるのです。

 

 アメリカの Institute of Noetic Sciences (純粋知性科学研究所)の ディーン・ラディンらは、人間とロボットが実験を観察する場合を比較する実験を行った。2重スリット実験を人間あるいはロボットが観察するという形で行われた実験をネット上で2年以上、のべ 5738回 行った結果、意識をもつ人間が観察した方が、機械が観察したより観察者効果が出ることがわかった(1)。

 

 

 「ブラックホール」の名付け親でニールス・ボーアの弟子だった20世紀最後の大物物理学者・プリンストン大学教授 ジョン・ホイーラー(1911~2008年)の「遅延選択実験」もおもしろいです。

 光子がスリットを通過するまで待ち、それから何を測定するか(スリットの経路A,経路B、あるいは重ね合わせ)を自由選択することができるのです。詳細は <実在についてー6> (2022-08-19) をご覧ください。

 

 

1. Radin, D., Michel,L., & Delorme, A. (2016). 

  Psycholophysical modulation of fringe visibility 

    in a distant double-slit optical system.

    Physics Essays. 29(1), 14-22