久しぶりにメリーさんの記事を目にした。

ハマのメリー。

「ヨコハマメリー」という映画にもなっていたんだね。

私がまだ小さい頃、たまに見かけた。

南太田の駅前をトランクをゴロゴロ引いて歩いていたメリーさんは目立っていた。

顔を白粉で真っ白に塗り、どぎつい化粧、髪を結い、レースがふんだんに使われたドレスも白。

あの頃、ドレスなんて見たこともなかった私にとっては興味津々。

そんな私におばあちゃんは良い顔をしなかった。

娼婦なんて言葉も知らず、大人達はパンパンと呼んでいた。意味は知らなかった。

トランクの中には死体が入っているという噂も子どもを遠ざけるための嘘だったのだろう。

少し成長するとパンパンの意味も理解し、伊勢佐木町でお店をやっているおばさんから「お店に来るお客さんから聞いたんだけど…」とかなり品のない話も聞いた。

最後にメリーさんを見たのは旦那と横浜デート(ほぼ私の愛する関内から山下公園あたり)をしている時にふたりで。

旦那がメッチャ驚いていて、ああ、初めて見る人には衝撃的なんだなと気がついた。

その時にはもう70代も後半くらいに見えた。

小さな体、背中を丸めるようにしてトランクを引く姿、白い顔にどぎつい化粧に白いドレス、今でも鮮明に思い出せる。

この歳になりあの頃のメリーさんを想う。

何を思いひとりゴロゴロとトランクを引きながら歩いていたんだろう?

きっとメリーさんを遠目でも見たことがある人はその姿を目ではなく心に焼き付けられたと思う。

今でも関内、馬車道に行くと思い出す。

その景色の中にメリーさんを思い浮かべる。