あれは俺が23歳の時だった。
夜遅く埼玉から帰る途中の環七。
それまで乗っていたグロリア430からセドリックY30VIPブロアムターボに乗り換えたばかり。
時間は深夜2時くらいだったか、川越街道を走っていると右車線から白いベンツがウインカーも出さず俺の前に勢いよく入って来た。
まだ若かった俺はプチッと切れて、即座に前のベンツをロックオン。
ヘッドライトを上向きにしてピッタリと付けて後を追った。
だが間も無くして信号で引っかかり逃してしまう。
ベンツは信号無視して走り去って行った。
逃げられた悔しさでまだ興奮冷めやらぬまま、夜中のガラガラな環七に入った。
そして、忘れもしない豊玉陸橋の手前。
赤信号で止まっていると、左に紺色のセダンがゆっくりと止まった。
セドリックの430だった。
運転席の男がこっちを見ている。
パンチパーマに見えた。
ん?ヤーサン?
俺の目立つ車に因縁でもつける気か?
信号が青になり、相手を先に行かせようとゆっくりアクセルを踏んだが、紺色のセダンは動かない。
焦ったくなった俺はエイッ!とアクセル全開で目の前の豊玉陸橋を登って行った。
追ってきてるかミラーで確認してみると、セダンのフロントグリルから赤く丸いモノが2つ点滅した。
そしてすぐにルーフからは赤色灯が飛び出し、「前の白いセドリックの運転手さん、陸橋下りた所で左に寄って止まってください」と、スピーカーからの声。
やられた。
覆面パトカーだった。
その中に連行され、スピードメーターの表示を見せられた。
「32キロオーバーだね」
うっ!1発30日免停確定だ。
「若いのにいい車乗ってるね、飛ばしたくなっちゃった?」
「いやいや、オタクらがヤクザに見えたんですよ」
「またまたあ(笑)」
ホントだっつうの!





