ショートストーリー 第十話。 | SHOW-ROOM(やなだ しょういちの部屋)

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「あの、もし良ければLINE交換しません?」

勇気を振り絞って聞いた。

「ん・・・ごめん、それはまだ・・・ね(笑)」

撃沈した拓也。

1時間程で食事を終え、外に出ると雨が落ちてきた。

「あ、雨だ。もし良かったら乗って行きません?送りますよ。」

「え?ん〜、でもまだこれくらいなら大丈夫ですよ(笑)」

だが、あっという間に雨足は強くなり、1秒でも外に出ていられないほどザーザー降りとなった。

「あ、もう大変だあ。送りますよ!」

「はあ、じゃあお願いしようかな。」

商業施設のパーキングに入り、自分の車を見つけた拓也が足早に車に走り寄った。

「どうぞ!乗ってください。」

だが、車の横で立ちすくんでいる佐伯。

「どうしました?」

「え・・・これが野村さんの?」

「はい!さあ、どうぞ。」

「あ、はい。」

「すいません、汚い車で。」

「いえ、そんなことないです!綺麗じゃないですか。」

「今朝慌てて掃除したんですよ(笑)」

「それにポルシェだったなんて・・・。」

「いやあ中古だし、小さいから窮屈でしょ?」

「そんなことないですよ。白くて小さいのって言ってたから、てっきり軽かと思ってました。」

レインボーブリッジを渡る車中では、珍しく佐伯の方から多くの質問をされる拓也。

「もう就職は決まったんですか?」

言葉遣いが敬語に戻っている。

「就職というか、父の会社に入るんです。」

「えっ?お父様は社長さんなんですか?」

「はい、○○○って知ってますか?」

「えっ!勿論知ってますよ!誰でも知ってる会社じゃないですか!」


〜つづく〜



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