顧問弁護士は、社外取締役になることができるか? | じじい司法書士のブログ(もんさのブログ改め)

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法律事務所の中で司法書士・行政書士を個人開業しています。50近くになって士業としての活動をはじめました。法律事務所事務員と裁判所書記官としての経験を生かして、少しずつ進歩していければと思っております。

「顧問弁護士は、社外取締役になることができるか?」


というご質問をいただきました。





現行会社法では、社外取締役は2条15号に規定があります。

「株式会社の取締役であって、当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役(株式会社の第363条第1項各号に掲げる取締役及び当該株式会社の業務を執行した他の取締役をいう。以下同じ。)若しくは執行役又は支配人その他の使用人でなく、かつ、過去に当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人となったことがないものをいう。」



※ 第363条(取締役会設置会社の取締役の権限)第1項

「次に掲げる取締役は、取締役会設置会社の業務を執行する。

1 代表取締役

2 代表取締役以外の取締役であって、取締役会の決議によって取締役会設置会社の業務を執行する取締役として選定されたもの」





大変分かりにくい表現ですが、分解すると

(1)現在

① 当該株式会社又はその子会社の

② 業務執行取締役(=代表取締役、業務執行する取締役として選定された取締役)

(2)過去に

① 当該株式会社又はその子会社の

② 業務執行取締役

だった

取締役は、社外取締役ではない

ということになります。

ですから、上記の(1)①②(2)①②に該当しない取締役が「社外取締役」です。



会社法が改正された場合の、社外取締役の範囲については、過去のブログ参照   





顧問弁護士は、会社法2条15号中の、当該会社・子会社の「使用人」に該当しないかどうかが問題となります。



この問題は、顧問弁護士が監査役(会社法335条2項)となり得るかの問題と同様に考えられています。



顧問弁護士、顧問税理士等については、原則として兼任禁止の対象となる使用人に該当しないとする見解が有力です(商業登記ハンドブック―第2版―434頁で引用する各文献)。



やはり、顧問弁護士、顧問税理士等が「実質的に使用人と同視できるような従属性が継続的にあるかどうか」で判断されるのだろうと思います。

顧問弁護士だからといって、オーナーにべったりと従属化したような弁護士は通常いないわけですし、会社からの相談に対しても、経営側の立場のみからというよりは、「経営側としては、このようなことを考えているのでしょうが、法的な観点からは、このような問題点が考えられます。」と回答するのが通常です。経営への従属性があるとは、一般的には言えないので、社外取締役になることができるのだと思います。

例えば、その顧問弁護士の収入の大半が、その会社の顧問料・報酬だった場合などには、別途検討する必要があるのだと思いますが。



今後、社外取締役を導入したいという非上場会社が増えるかも知れません。社外役員の確保は大変と聞いていますので、顧問弁護士等を社外取締役として迎える際の(東証の「独立性基準」などとは別の)実務的なルールがあった方がよいのかも知れません。