今日、需要と供給のメカニズムは、物質的生産の面では崩壊しつつある一方、上部構造の面では、支配者のコントロールとして作用している。

 

この場合消費者とは、労働者やサラリーマンであり、農民や小市民である。

 

彼らは資本制生産の中に心身ともに封じこめられ、要求されたものに唯々諾々と身を委ねるようになる。言うまでもなく被支配者たちは、上から与えられたモラルを、支配者自身よりもっと真面目に受け取るものだが、それと同じく欺かれた大衆は、今日では、成功した者たちよりはるかに成功神話に陥っている。

 

彼らは自分たちも成功したいと願っている。見まごうかたなく、彼らは自分たちを奴隷化するイデオロギーにしがみついているのだ。

 

自分に加えられた危害に対する病的な愛着は、当局の老獪さより先行している。

 

文化産業――大衆欺瞞としての啓蒙