「現代生活独習ノート」
津村記久子
コレの続きです

5話目
「粗食インスタグラム」
主人公は会社員
空腹は感じるが、たくさんの食物から食べたいものを「選ぶ」ことに苦痛を感じている
SNSにこれ見よがしに載っている
「映える食卓」みたいな投稿すら見ていて疲弊してしまう
そんな主人公は
自分の「残念な食卓」を投稿してみようと思いつく

現代の豊かさ故の「選択肢の多さ」に対する苦痛もある
また、「食事」というものの捉え方も多様化している
食の喜びを重要視している人もいれば
こんな珍しいモノを食べた、こんな高価なモノを食べたという自己顕示欲を満たすための食事もある
そして、私みたいに
とりあえず食べたい、なにはなくてもなにかつまみたいという人もいるいるよね?
ストレスでも食べる
やる気がなくても、体調不良でも基本食べる私
主人公みたいに、なにを食べるか考えるのが面倒くさすぎて食欲なくなる
生きるために仕方なく食べているだけ
っていう人もいるんだね
さて、主人公がはじめた「粗食インスタグラム」だが
想像よりもヒドくておもしろい
そして、全然食べないというわけでもなく
よくわからないところで食欲のスイッチが入ってる感もある
しかし読んでるうちに、
主人公の感情と食事内容やそれを食べたときの充実感は
すこし相関しているようにも思えてくる
物語の最後の「粗食インスタ」は、
主人公が旅行に行きそびれてしょぼくれている日の食事日記
だけど、思わぬかたちで
主人公は気持ちも満たされるような食事をとることになります
食事は美味しければいいとか
格式高ければいいとか
健康的であればいいとかいうわけではない
という発見がある
「満足な食事」の条件はいくつかあるように思う
美味しい、楽しい、嬉しい、安心とか?
人間関係は疲れるものだけど、
人を癒すのもまた人間だったりするのと少し似ている
…ような気がする
ちなみにこれは私の最近の粗食ランチ
キムチチーズご飯です

