「現代生活独習ノート」
津村記久子
コレの続きです

3話目
「現代生活手帖」
主人公は、区で毎年配られる「現代生活手帖」という冊子が大好きである
便利なんだかよくわからないが妙に魅力的な商品やサービスが掲載されており
そこから欲しいモノを選ぶことが大きな楽しみである

ネット通販やサブスクなど、便利になりすぎた世の中への原点回帰を促すテーマ
とか余計なコジツケしなくても
この「現代生活手帖」に載っている商品やサービスは
どこかおマヌケで、なおかつピンポイントに役に立ちそうなものばかりで読んでておもしろい
たとえば、
目覚まし時計+給茶機のような機能のティーサーバー「執事」
みかんジュースが出てくる水道
商品の配送を、人からロバに変えてくれるサービス
自分が知らないうちに、そっと家にある要らない物を分析して捨ててくれる「捨て物ロボット」
登録すると、自分が外出時に通り道の民家があかりを点けて道を明るくしてくれるサービス
余ったおかずや足りない調味料などを、共有SNSから交換できる家を探せるサービス
などなど、確かに便利だし未来っぽいけど、どこか古き良きというか
生活に根付いた素朴な「あったらいいな」を地味に叶える不思議なラインナップですよね
でも、
主人公のいつも座っているテーブルはデバイスと一体型で
テーブルをこするだけで電気がついたり音楽が流れたり温度調節までできるんです笑
主人公はそんな便利なモノをすでに手にしてるのに、
いまだ通販カタログみたいな冊子を読んで、ちょっと野暮ったい商品が気になってしまう
生活するってそんなもんかもしれないですね
洗練されすぎても息苦しいっていうか
どっか手動だったり、ちょっとヘンテコな「遊び」があるものが馴染んで手放せないのかも
