「現代生活独習ノート」
津村記久子
コレの続きです

2話目
「台所の停戦」
主人公は、シングルマザーの女性
小学5年生の娘と、自身の母親と同居している
主人公がひそかに頭を悩ませているのが
最近娘が料理に興味を持ち始めたこと
ただでさえ、整理が苦手な主人公の母親のせいで
台所も冷蔵庫もごちゃついているのだ

ズバリ言うと
毒親について描かれていると思った
最近は毒親という言葉がかなり一般的になってきているが
殴ったり世話を一切しなかったり、そういうわかりやすい毒親だけでなく
子供の衣食住は整えていても、
子供の人格を少しずつ少しずつ削り取るような
「穏やかな毒親」の存在はどれくらい認知されているだろう
この物語の主人公の女性と母親の関係もそれに当てはまると思うし
疎遠にした私の母親も当てはまる
(まあうちの母親は殴ってもきてましたけど)
「穏やかな毒親」すらも、次世代に影響を残してしまう
「毒親の連鎖」というやつですね
主人公は娘に台所を使われることが異様に気に障るんだが
もとを正せば、それは主人公自身が台所の使い方について
主人公の母親にマイルールを押し付けられていたことに起因する
私だってあるもんな
あ!あの大嫌いだった母親と同じこと言ってる!
というときや
子供のこの行動、どうしてこんなに癇に障るのだろう?と思ったら
それは他でもない私自身がすごく親から咎めてられていた行動だったりね
ただ物語はそこでは終わらず
主人公は母親も同じく毒親だった祖母から毒を受けていたことを思い出し
その毒のいくつかは、その娘である主人公には受け継がれなかったことに気付きます
つまり、自分の意思で
「毒親の連鎖を止めた」ケースですね
そして、主人公自身も
「ここで受け継ぐのをやめよう」と、
母親からは許されなかったことを、自分の娘には許そうと決意します
毒親の影響をまったく受けないで育児をすることはとても難しい
それを日々実感します
どんなに憎んでも、私の根幹をつくる部分だから。
とても慎重に考えないと、常識なのか支配なのかわかるなくなるときがあります
だけど、私も親からされていたことで絶対に子供にはしないと決めていることがあります
それは、よその子と比べること
そして
クラスメイトやよその人の前で秘密をバラしたり、
わざと恥をかかせること
これだけは受け継がないと心に決めています
(他にもあるけど)
「毒親」と言い切ってしまうと
なにか特殊な病気のように感じるけど
けっこうどの親子関係にも多かれ少なかれ
親に対する遺恨はあるように思う
それを、私は子供にはしない選択をする
子を傷つける言葉より、そういうときはどうしたらいいか教えるほうを選ぶ
私はどう思うのかを伝えて、子はどう思うのか聞く
そんなことなら少しずつできるような気がした