「カソウスキの行方」
津村記久子
コレの続きです

「花婿のハムラビ法典」
ハルオは、今日サトミと結婚式を挙げる新郎である
二人がこの日を迎えるまでには紆余曲折があった
悪気なくしばしば不義理を働くサトミへの不満を解消するために、
サトミにされたことと同じことだけやり返すという
「目には目を歯には歯を」作戦を密かに決行していたハルオ
式直前の控室にひとりでいるハルオのもとへ、サトミの妹・瑞穂がやってくる

遅刻されたら同じ時間分わざと遅刻するとか、
ドタキャンされた回数分あえてドタキャンし返すとか
ハルオのハムラビ法典が女々しくて笑った
でもこれ、女側だったらけっこうよく聞く話じゃないですか?
彼の気持ちより自分の気持ちのほうが重い気がする。
とかいって悩んだり
彼がメールや電話をくれないからこちらからも連絡するのを我慢する
とか
ちとネタバレすると
どさくさに紛れてサトミは浮気します
しかもそれをヌケヌケとハルオに告白してきます

ハルオハムラビ法典にのっとるなら…
ハルオも浮気し返さないといけないわけだけど…
てかもう別れろよ笑
と、思うんだが
ハルオとサトミの会話ややりとりの珍妙さ、リズム感、独特さを読むと
なかなかサトミに代わる女はいないだろうなあという感想
「椎名桔平ってかっこいいんだけどなんかたこ焼きに似てるよね」
ってメールを送ってきたりする
やめれwwwたこ焼きwwwわかるwww
サトミの不義理にて空振りに終わったクリスマスのくだりも、おもしろくて泣けそう

最後、ハルオが式場の控室をあとにして
サトミと式に向かうまでのやりとりもまたいい
ハルオはもう一生サトミに振り回されるしかないんだろうなと思わされる
でもハルオだって一人の人間の男
これまたなんか業の深そうなサトミの妹と、
滑り込みセーフでハムラビ法典決行したのか…?
下世話な妄想をした私はなんどか最後の箇所を読み返しました

津村記久子の小説に出てくる人たちは
礼儀正しくて人見知りで、だけど優しくてクールでかっこいい
出しゃばらないのにここぞというときにさりげなくキメてくるイメージ
だけど、
恋愛の絡む話になると、一気にカッコ悪い人たちがわんさか登場する(あくまでイメージ)
そしてそれに、ものすごく共感してしまう私…
今回は
カッコいい!とあこがれるよりも
なにやってんだよwwwでもめっちゃわかるwwwが圧倒的に多い1冊でした