「カソウスキの行方」
津村記久子
コレの続きです

「Everyday I Write A Book」
野枝はシカドにほのかな恋心を抱いていて、
オサダはシカドの妻の茉莉のことが好きだった

前回、この本は恋愛小説集ではないかと仮定した私だが
だとしたらこのお話もまた
回りくどくて不器用で、カッコ悪い恋の話だと思う
そして、やっぱりまた自分に当てはまるフシがおおすぎる
野枝はシカドに恋をしてるけれど、
シカドとはそれほどの知り合いではなくなんなら知り合いの知り合い程度
もしかしたら、シカド側は野枝をちゃんと認識しているのかすら疑わしい
えー!
でもそれめっちゃわかる
顔見知り?レベルの相手にだって充分恋はできる
私くらいになるとね
そして、オサダもまた
茉莉とはパーティーで顔見知りになった程度…oh…
そんな野枝とオサダがなんとなく落ち合い
傷心の寂しさを埋めるためだけにかりそめの関係を持つ…
なんてことにはもちろんならず、
二人してシカド・茉莉カップルの愚痴をぼやいたり
わざわざ茉莉のSNSを読んでまたぼやいたりする関係
シカドはデザイナー、
妻の茉莉は絵本作家兼ミュージシャン
っていう、クリエイターカップル
それだけでもなんか鼻持ちならないのに
茉莉のブログやらインタビュー記事が
絶妙に自己顕示欲がうっとうしくて下品でムカつくのも
なんかいい笑
イライラしつつ掻くのを辞められない虫刺され痕みたい笑
野枝はシカドとどうこうなることはまず無いんだから
もういい加減茉莉のブログやシカドのことは気にするのを辞めて
オサダともべつの話題を話したらいいと思うのに
野枝は相変わらず茉莉のブログを読み、
オサダの茉莉への想いなんかを聞いてメンタルを崩壊させたりしている
茉莉と結婚してしまったシカドなのか、
その茉莉をいまだグズグズ想うオサダなのか…?
たまに思考停止をはさみつつも
ようやく最後に野枝はオサダ一個人と向き合うことになったようだ
やっとか。
でも超わかる
シカドや茉莉への愚痴で終始していた頃には知る由もなかったオサダのことを知り
ようやくなんだか明るい兆しが見えたラストだと思った
これは読んでいて思わず恋愛偏差値激低の私も嬉しくなった
