「ポースケ」
津村記久子

コレの続きです下差し
最終話
「ポースケ」 

「食事・喫茶 ハタナカ」で行われるイベント
「ポースケ」の当日。



第一話でなんだそれ?レベルだったノルウェーの春のお祭り「ポースケ」

が、奈良の喫茶店「ハタナカ」でとうとう行われる




本場ノルウェーでは、すでに今年のポースケは終わったという追加情報がもたらされても

もはやおかまいなしである




お祭りの内容も

弾き語り、詩の朗読、翻訳、ハンガリアンウォーター配布(ノルウェーのお祭りだけど)

フリーペーパーの配布、持ち寄りを含む食事会など


かなり自由にやりたいことをやる感じ。



これまでの章の登場人物のその後が少しずつ垣間見え、

彼らの人生や人間関係が少しだけ前進したことがわかり

とてもしあわせな気持ちになる。




ポースケはノルウェーでいうところのイースター、つまり復活祭

この「ハタナカ」でのポースケも、ある意味復活祭といえるだろう




そして、「ハタナカ」を旅立つ人

また「ハタナカ」に新たにやってくる人もいる




悩みを抱えたり

人生を変えたいと思ったり、変えられないと思ったり

このままでいたいとか、このままでいていいのかと悩んだり



おそらくそれはみんなそう



目の前のことをひとつひとつ、日々できることからやっていくしかない

きっとそれも、みんなそうなのだろう



それは時として、心細いことでもある



そんなとき、ここからはとんでもなく遠い国で

どんな内容かも全く推察できないヘンテコな名前のお祭りがあると知ったら


なんだか心がすこし軽くなりはしないだろうか




まだまだ知らない世界がある


とんでもなく遠い国に行かなくても、

いつもと一本違う路地や、入ったことないお店に

自分にとっての安全な世界が少し広がるキッカケがあるかもしれない


 


そんなふうに

無理なく前向きな気分にさせてくれる1冊だった


 

 


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