「爪と目」
藤野可織
コレの続きです

「しょう子さんが忘れていること」
しょう子さんは入院中
同じ入院患者の若者、川端くんは誰にでも感じよく
しょう子さんの娘にも孫娘にも気に入られている
だけどしょう子さんは娘にも孫娘にも秘密にしてることがあった
川端くんは毎晩、しょう子さんのベッドに忍び込んでくること。

不思議なハナシだなぁコレ
しょう子さんの「忘れていること」というより
「覚えていること」ではないか?
しょう子さんはかなり高齢で
もうすでにいろんなことがあやふやになっている
そんな彼女の頭にしばしばよぎること
〜〜それはズバリ性欲〜〜
朦朧としたしょう子さんが夜な夜な夢想するのは
若者・川端くんとの妄想SEXなんである
ヒトはいつまで性欲があるのだろう?
男性は死ぬまで性欲があるなんて聞くけど
痴呆老人が女性看護師にセクハラするとかさ
だとしたら女性だって死ぬまで性欲があってもおかしくない
なんとなく希望的観測というか
「年を召したらそういう類いの欲望からは卒業できる」みたいな認識があると思うんだが
「繁殖」という生命としての基本的欲求が
命が尽きるまで残っていてもなんらおかしくはない
昨日も今日も
去年も今年すらも曖昧になっているしょう子さんが
毎晩、淫らな妄想に翻弄されるのは
惨めなことではなく、もしかしたら幸福なことと言えるのかも…?
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