幼い「わたし」の父親と不倫した「あなた」
やがて「わたし」の母親が死に
「わたし」は「あなた」と暮らすことになった
ひとの内側に渦巻く渇望と
いつもは気にしないようにしている持続的な苦痛

とりあえず
サイコパス最強!!
って思った
サイコパスって、「あなた」(『麻衣』という名前)のことなんだけど
不倫して、妻が死んでもソッコー不倫相手と婚約する男もサイコパス
子持ち既婚者と不倫しても罪悪感ゼロ!
その妻が変死してもなんとも思わん
おもしろそうだから前妻との娘(わたし)を引き取って育ててみよ〜っと
ちなみにテキトーな育て方だし「わたし」が自分に懐かなくてもどーでもいい
夫(正確には婚約者?)が新たに不倫しててもなんとも思わん
なんなら自分も不倫するし、不倫相手も気まぐれに捨てる
前妻のブログを漁り、前妻の趣味を真似する
もうね
感情なんて捨てたモン勝ちだよね!
こういう人たちにとって
倫理観や感情に揺さぶられて動くことよりも
自分が自分のまま生きることのほうがよほど重要なんだよね!
うらやましいことだ
みんながみんなこういう感じなら逆に平和かもな
それでもやっぱり
生きていくことにはどうしても苦痛が伴うものなのだろうか?
文中に繰り返し出てくる
「あなた」がハードコンタクトレンズに感じる不快感や
おとなしく手がかからない「わたし」が噛み続ける爪の周りの皮膚
あと、浮気してたくせに前妻の死後インポになっちゃった男もね
そのように、拭っても見ないふりをしても消えない違和感があるのだろうか
そんな「あなた」が
夫を略奪されたうえに変死した前妻のブログを漁り読み
前妻の趣味である「ていねいな暮らし」を執拗に真似するくだりは不気味だ
前妻を真似することで、今の夫を揺さぶるという意図すらない
すてに夫のことさえ眼中にないところがさらに不気味なんである
罪悪感のカケラもないし。
サイコパス麻衣は麻衣なりに
「なりたい自分像」があったのかなぁと思うと逆に不思議なほどである
前妻が、おそらく夫の不誠実に気づきながらも
ひたすら「ていねいな暮らし」を貫き続け
それをブログの中でいちぶの隙もなく完璧に展開させているのも不気味ではある
みんな、ほころびは見て見ぬふりして
自分の理想や見たいものだけで目の前を塗り固めているということかもしれない
それに対し、物語の最後で
今まで大人しい娘だった「わたし」(いちおう陽菜という名前がある)がとった行動は衝撃である
「見たいものだけ見てんじゃないよ」
「そんなのなにも見えてないのと一緒だよ」
という忠告だろうか。
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