「ディス・イズ・ザ・デイ」
津村記久子
コレの続きです

第8話
「また夜が明けるまで」
出てくるチーム
ヴェーレ浜松✕モルゲン土佐
核となる人間関係
浜松サポーターの忍と、土佐サポーターの文子
好きな一文
「また一緒にサッカー観ましょうよ」

忍は夫と自分が応援すると浜松が負けるというジンクスを硬く守っていたものの
ひょんなことから最終節を見に飛行機で高知までふらっと来てしまう
文子はたまたま車で通りかかった空港で、待ちぼうけをしていた忍を拾うことになる
浜松は最終節で1部昇格の可能性があり、
対して土佐は3部降格の瀬戸際である。
両チームの状況はかなり違うものの、
サポーターが気を揉む気持ちは同じなのである
そんな共通する心許なさが二人を結びつけるのか
贔屓のチームは違えど、2部リーグのファン同士通ずるものがあるのか
二人は急速に仲良くなる
なにかスポーツの強力なファンになったことがないので私にはよくわからない感覚ですが
そういうものなんですかねぇ
どの章の登場人物も、
贔屓のチームの勝敗にまるで自分のことのように心を揺り動かされ
落ち込んだり、また次もダメなのではないかと不安になったりするのに
相手チームの勝利もまた称える気持ちがある
相手サポーターに、良かったですねと声をかけられる
チームは違えど、応援する気持ちは共通している
この高知での最終節は、
浜松にとっても土佐にとってもぜったいに譲れない試合だ
読んでいて忍の気持ちも文子の気持ちも両方わかるだけに
結果を知るのが怖い気持ちになった
が、ラストは切ないながらも意外なほどさわやかで…
なにかを応援するって良いなあ!
人とのつながりって良いなあ!
なんて、ガラにもなく思っちゃったよね…