「ディス・イズ・ザ・デイ」
津村記久子
コレの続きです
第7話
「権現様の弟、旅に出る」
出てくるチーム
遠野FC✕姫路FC
核となる人間関係
岩手で働く荘介と、通販で10万円で購入した権現様の「弟」
※権現様は人間じゃないけども、ここはあえてこの二人の物語だと思う
好きな一文
「そら勝ってほしい。でもまずはみんな無事でいてほしい」

権現様という存在を知らなかったのですが、
神楽を舞う時に被る獅子舞の面と考えておそらく間違いないようです
荘介は幼少期に神楽を習っていた経緯から、
昔の仲間に頼まれて
権現舞のパフォーマンスをするためにサッカースタジアムに行きます
彼は今までの主人公とは違い、もともとサポーターではなく
コレをきっかけに少しずつ遠野FCのサポーターになるのです
遠征にも連れていけるように、
先祖代々伝わる「権現様」の面ではなく、
それっぽい見た目の「権現様の弟」をネットで購入します
単純にチームのサポーターというだけではなく、
スタジアムの雰囲気、観戦仲間や他のサポーターとの交流が彼を癒します
この短編集には唯一ではないかというクソクソな胸糞人物として
荘介にパワハラする糞上司が出てきたり
それと同時に、ほのかに恋が生まれそうな同僚の女性なんかも絡みつつ
荘介と権現様の弟のサッカーのシーズンは進んでいきます
獅子舞と同じく、権現様に頭を噛んでもらうと厄払いになるそうで
そんな権現様の弟とともに人と関わるうちに
荘介は「誰かのために幸せを祈ること」を意識するようになります
クソみたいなパワハラ上司に精神を削られても
またパワーをチャージできる場所がある
そしてそのパワーを分けてあげたいと明確に願う相手がいる
冷たい風のなかで、ポッと心に小さな灯がともるようなラストだと思った