「ディス・イズ・ザ・デイ」
津村記久子
コレの続きです

第五話
「篠村兄弟の恩寵」
出てくるチームは
奈良FC✕伊勢志摩ユナイテッド
核となる人間関係
兄・靖と、弟・昭仁
好きな一文
「大好きだった。これからもきっとそうだろう。」

篠村家の兄・靖と弟・昭仁は絶賛ケンカ中だ。
ふたりは元々、奈良FCとそこに所属する窓井選手の大ファンだった。
しかし奈良FCは窓井の伊勢志摩ユナイテッドへの放出を決め、
それに憤慨した昭仁は、これまでどおり奈良のサポーターを辞めない靖と決裂したのだ
お気にのサッカー選手で兄弟ゲンカって!
と、思うのだが
窓井選手めっちゃ良いヤツ!!
と、読んでいるうちに思う
篠村兄弟は、早くに両親や祖母を亡くし
高校生の靖が親代わりとなって暮らしてきたという背景がある。
気落ちする昭仁を靖が奈良FCの試合に連れて行ったのが最初で、
そんな兄弟に、窓井のファンサを超えたファンサが暖かいのだ。
こりゃファンになっちゃうよな

特に昭仁は、小学4年の時点で両親を喪っており
窓井選手への思慕はひとしおであろう
兄の靖は密かに窓井選手のことを、
不遇な自分たち兄弟に神から遣わされた存在かのように感じているのだが
高校生の靖が、お金がないながらも昭仁に我慢をさせたくないと
物価の高いスタジアムの屋台と似たような惣菜をスーパーで安く探して持ち込んでいたという箇所を読んで
私は靖の昭仁への献身にも心がふるえた
靖だってまだ高校生だったというのにさ…!
だけど時は経ち、昭仁も成長し
靖には恋人が出来、転勤も決まった
ふたりの応援するチームは別々になり、
もうすぐ住むところも別々になるけれど
窓井選手のファンになったときの気持ちと、これからも応援する気持ちは
共有し続けることだろう