「ディス・イズ・ザ・デイ」
津村記久子

コレの続きです下差し
「若松家ダービー」

出てくるチームは
泉大津ディアブロ✕琵琶湖トルメンタス
もちろん架空のチームニヒヒ

核となる人間関係は
若松家の母・供子と高1の長男・圭太

好きな一文
「自分たちが犬だとしたら、クラブは飼い主のようなものなのかもしれない」



この章がいちばん好きかもラブラブ



若松家は母・供子を筆頭に、

子供たちも幼い頃から泉大津ディアブロを観戦してきた


それが、高校生になった息子の圭太は泉大津の試合について来なくなった



どうやら、こっそりバイトまでして琵琶湖トルメンタスの観戦に行っているようだとわかる



親離れ子離れ、反抗期や思春期みたいなものが

サッカー2部リーグのファンということに絡まって絶妙に描かれている



息子と母は、互いを主張してぶつかり合ったりはしない



供子は、息子の不可解な行動に気を揉みながらも必要以上に詮索はせず

圭太が供子とは別のチームのファンになったのだと気づいてからもそっと見守る


私ならムリだわ〜!

絶対問い詰めちゃうよアセアセ


なんで無断でバイトなんかしてるの!?

どうして試合一緒に来ないの!?

みたいにさ…



そんな、母親としては見本のような供子なのだが、

泉大津のDF舟井(通称フナ)に対しては過剰に期待して過剰に心配してしまうところが可笑しい笑い


フナは、客観的にはちょっと残念な選手であるのだが

子供たちが賢くてソツがない分、惹かれるのだろうか



そして、圭太は圭太でまた

自身と少し重なるような、小柄でキレモノの琵琶湖の監督にすっかり憧れている

(そして、母や泉大津ディアブロのことは若干醒めた目で見ている)



そしてとうとう、

供子の応援する泉大津と、圭太の応援する琵琶湖が対戦する日がやってくる


そのシーンもとても良い気づき



供子は、同じスタジアムにいるであろう圭太のことばかり考えてしまうが

探し出そうとは思わない


圭太は圭太の道を見つけたんだと理解する

おねがいステキな母



なーんてことはほとんど気にせずに、

屋台で鮒寿司なんか買っちゃう夫の呑気さも良い



圭太は圭太で、自分でお金をためて一人でスタジアムに通う経験をして

はじめて、家族で観戦していた頃はお金なんて気にしなかったことなどに気づく


だけど、必要以上に家族への想いにとらわれることはなく、

屋台で牛串なんか買い食いしながら自由に観戦を楽しむ



圭太のことばかり考えてしまう供子とは対照的だが、

これこそ親離れ子離れだと思う



子どもは、いままで当たり前のように用意されていた「親の世界」を出て、

出会った新しい世界を眺めるのに夢中



親は、これまで通りの「親の世界」から、子供を心配することしかできない

ただ、新しい世界でなんとかやっていけよと願うことしかできない



私にも、そろそろ思春期の子供がいるせいか

余計に沁みるお話でした…



 

 



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