「ディス・イズ・ザ・デイ」
津村記久子
コレの続きです

第一話
「三鷹を取り戻す」
出てくるチームは
「三鷹ロスゲレロス」✕「ネプタドーレ弘前」
もちろんどちらも架空のチーム

核となる人間関係は、
同じバイト先の貴志と松下
好きな一文
「自分はなにかを自分自身から取り返したのだ」

貴志は中学時代から三鷹ロスゲレロスの密かなファンであるものの、
いまいち弱かったり、クラスメイトに馬鹿にされているような三鷹に対し
ずっとふがいないと思う気持ちが大きく
その後は、FCバルセロナやFCバイエルンなどメジャー中のメジャーを応援することで
ホッとしてみたり
その一方で
「三鷹を見捨てた自分はファン失格」とまで思い詰めており
完全に三鷹への思いをこじらせています
対して、ちょっと怪しいバイト仲間だと思ってた松下くんは
三鷹ロスゲレロスの対戦相手であるネプタドーレ弘前のサポーターで
「強くはないけどなんか楽しいから応援してる」
みたいに、とっても無邪気に試合に通っている
対照的なふたりです
そんなふたりがある日、偶然スタジアムで落ち合い
屋台で買った食べ物なんかを食べながら、なんとなく親しくなります
チームの勝敗を、自分のことのように一喜一憂し
見守ることすらできないと感じるのも
そこにはそれほど頓着せず
観戦自体を楽しむのも
どちらが正しいなんてことはない
純粋なファン心理だと私は思う
貴志が、自分とは違うタイプのファンである松下くんと交流することで
どこか気持ちがラクになるところがとてもホッコリした