「浮遊霊ブラジル」
津村記久子

コレの続きです下差し
最終話
「浮遊霊ブラジル」


最近死んだばかりの高齢男性の霊が主人公。
彼の心残りはただ一つ、予定していたアラン諸島への町内旅行。

霊体だと、乗り物すらもすり抜けてしまうので、旅行どころではない
しかしある時、けっこう簡単に他人に憑依する方法をみつけた主人公

海外に行きそうな人につぎつぎと憑依しながら、
なんとかアラン諸島を目指すが…



最終話もところどころユルくて楽しい話


浮遊霊となった老人は、アラン諸島に行きたくていろんな人に憑依するんだけど、

憑依したらもちろんその人の考えもまるごと見えてしまうし

その人の裏事情なんかも見えてしまう



それだというのに、老人の霊はひたすら

「それはともかくアラン諸島に行きたい…」と思ってるのがなんか笑えた



もう、現世のゴタゴタなんてわりとどうでも良くなってる笑



それでも本来の面倒見の良さ?から
寄生相手の人々の気持ちなんかもなんとなく気にかけつつ


そんなこんなで誰にも気づかれないまま巻き込まれるように
地球の裏側までたどり着く。


寄生相手の思考に冷静にツッコミを入れる老人の霊がおもしろい。


そしてとうとう、ひょんなタイミングで
念願のアラン諸島にたどり着いたとき…


なんだか幸せなラストだと思った

こんなふうに、自分の利害とはあまり関係なく(だってもう死んでるし)
だれかの幸せを願ったり感謝したりしながら成仏するのだとしたら良いなと思った