「浮遊霊ブラジル」
津村記久子

コレの続きです下差し
「運命」

道を尋ねられたり、なにかと困っている人に声をかけられやすい主人公。




主人公は

受験に落ちたり、インフルエンザにかかったり、腹ペコだったり、失恋したときにさえ


街なかで知らない人に気軽に道を聞かれては

無視したり邪険にすることもなく

内心ゲンナリしながらも誠実に対応する


そういうエピソードが繰り返し描かれる



そのうち


生後2ヶ月の予防接種で来た病院で…

人生の最期に渡るといわれるあの河のほとりで…

船外活動の重要ミッション中に…




そ、そんなところでまでも!?

という時と場所で、

やっぱり主人公は知らない誰かに道を教えているびっくり



それがなんとも可笑しみがあり

自分が「とほほ」な状況なのに、通りすがりの人にわりと雑に道を聞かれては答える

というだけのコミュニケーションが

せつなくもあり、優しさも感じる



そして最後はまさかの

「すべての生き物が命の初めに必ず経験する熾烈な競争」

のシーンにまで遡り




読者(私)は主人公の負った使命を知ることになる



それはズバリ

不器用だけども、なにかとだれかの案内をするであろう運命




彼女の負った使命は
やっぱりちょっとトホホで些細な役割に見えるんだが


決して軽いものではないし
だれかの人生の節々で、きっと重要な助けをするだろう


たとえそうじゃなくても
たしかに祝福された命。