「君は永遠にそいつらより若い」
津村記久子

コレの続きです下差し

STEP.3河北とアスミ、気持ち悪すぎる


河北とアスミはホリガイの友人カップルなんだけど

河北もアスミも同じようにホリガイをナチュラルに見下している



とりわけ河北は

圧倒的に「搾取する側」の人間である

全方位から、好意を、気遣いを、許容を

当たり前のように搾取しては優位にたつ男



物腰やわらかだけど、ホリガイが「立場」をわきまえずに
自分の気に入らない発言をしようものなら
豹変してあからさまな悪意を突きつけてまで制圧しようとする


グロテスクとしか思えない男なんである


河北もアスミも
愛や世界や痛みをわかった気になってる共依存の厨ニカップルでしかない


このふたりが最終的にどうなるかはサラッと書かれているが
不穏で不幸な予感しかなくてゾッとした


STEP.4目に見える「暴力」の記憶



誰かを軽んじて、それをあえて隠さない

「マウント」という暴力のほかに


ど真ん中にフィジカルな暴力の存在も見え隠れする



精神的に肉体的に、理不尽に踏みにじられ抑圧された苦しみは

どれほど時が経っても消せないものだと思う



それがどんなに不当な扱いだったかと頭ではわかっていても

それを受けた自分の方が

弱くてみっともない存在なのではないかという屈辱感はずっと拭えない


あの時あの場所に戻って、相手を返り討ちにでもしない限りは。



STEP.5暴力の記憶に寄り添う



暴力が描かれる一方で
傷ついた人の気持ちを思いやる優しさも描かれている

それはあまりにもさりげないものもあって
見落としそうになる


私が好きなのは
ホリガイが知らないうちに、イノギさんがホリガイのノートの落書きに色を塗っていたところ

その落書きは河北の怒りを買い、傷つけられるきっかけとなったものだった
暴力の記憶である

その暴力についてホリガイがイノギさんに話すというエピソードはなかったはずだが
知ってか知らずか、それに色を塗ることで
イノギさんはホリガイの暴力の記憶を塗り替えてくれたように感じた


そのように、
相手の暴力の記憶に寄り添い
今でなくまさに過去のそのときを救おうとする気持ちが繰り返し描かれる



感想文、まとまらないので続きます…