「サキの忘れ物」
津村記久子
コレの続きです

「喫茶店の周波数」
主人公はアラフォーのサラリーマン
彼の行きつけの喫茶店は雰囲気が良く、
なにより客層もどことなく好ましく、聴こえてくる会話をラジオのように
密かに愉しんていた
そんな喫茶店が閉店するという

私もカフェで隣の人の会話なんかが気になるタイプなので共感できる
それが、人としてどうなのと思うような会話だったりすると
無関係なうえに盗み聞きなのに勝手にげんなりしてしまうところもわかる。
そしてこれは、
良く言えばシャイな人、悪く言えば深い人間関係を作るのが苦手な人あるある
という気がしたんですけども
実際にそこまで深く話したり交流したりしたことはない相手を
なぜか良く理解しているような気がしたり
好ましく思って、ちょっと連帯感を感じる
というようなところも、主人公に共感しました
主人公は、行きつけの喫茶店を愛しているけれども
店員と親しい常連になってるわけでもなく
「あかりちゃん」と呼ばれるべつの常連の会話をラジオのように楽しんではいるが
「あかりちゃん」と話したこともないし、向こうはおそらく主人公をそれほど認知していない
この感じ、なんかわかるんですよねえ!

すごく仲良しってほどでもないし、
もっと仲良しになろうという勇気も気力もないんだけど
私は心のなかで、うっすらとあなたのこと好きですよ♡
という相手が私にも結構います

こちらの一方的な思い入れ、と言われればそれまでですけど
それでもいいんだもん☆
「物事は、最後だからといって格好がつくわけでもない」という箇所があり
それもすごく納得する
最後だから格好がついたとしたら、
それは最後だから格好つけただけですよね!
だけど、
この喫茶店を愛する知らない同士がそれぞれに最終日に集まって
それは偶然かもしれないけど、
たしかにそこに連帯感はある。と思う。