「まともな家の子供はいない」
津村記久子
より

「サバイブ」


母が不倫していることに気づいてしまった女子中学生、いつみ
不埒な父親と、その再婚相手との関係が気まずい女子大生、沙和子




前章「まともな家の子供はいない」に出てきた室田いつみが主人公


いつみはいつみでハードな家庭…



いつみの母と沙和子の父は不倫していて、

物語は交互にいつみと沙和子の視点で進むんだけど



不倫カップルはもちろん

まわりの人、不気味すぎ!!



実家に入り浸るいつみの兄とその彼女も

突然ねちっこい敵意を向けてくる沙和子の継母、千花も

沙和子の実母とその近所の人も

ふたりして沙和子を裏切った沙和子の彼氏と沙和子の友人のカップルも



個人的には、

不倫して離婚してすぐ再婚したという噂がながれる

いつみの中学校の佐伯先生がいちばん不気味だった



なんなんだろう佐伯先生

怖いもの見たさで佐伯先生の視点で物語が読みたいと少し思った



こんな不条理な人間関係に翻弄されながら生きていかなくてはいけないなんて

それこそサバイブだ



たとえ大人だって、大人だからこそ

不条理なことを何食わぬ顔で平気で押し通そうとしたりする



理解できぬまま傷ついて、それでもそれは今だけのことだと

ぐっとこらえて歩くいつみと沙和子を

ハードボイルドだと思った



いつみと沙和子、沙和子の腹違いの妹千里は

正反対なようで同じ立場にあり、

直接的ではないにしても、この物語において数少ない相手を思いやる関係だと思った




私が今まで読んだいくつかの津村記久子作品では
主人公たちはいくら窮屈で理不尽な思いをしても
それを押し込めて、感情あらわに叫んだりすることは少ない印象


だけど、中学生が主人公だからか
「まともな家の子供はいない」と「サバイブ」の二作品とも
主人公の中学生が感情のままに言いたいことを言うシーンがある


もちろん、中学生が叫んだところでまわりの大人は
適当に諌めて終わるようなイライラする態度なんだけど、

良く言った!と少しだけスッキリした




どいつもこいつも中学生舐めんな💢
というのが二作品に共通する私の感想

大人ではないけど、だいたいのことは理解している。