「自転しながら公転する」
山本文緒

コレの続きです下差し

前回は、山本文緒作品あるあるだといえる
「読みやすさに油断してたらあっという間にドツボにはまる」現象について書きましたが


恋愛のキュンキュンや、
なんともいえないユーモラスなところも
山本文緒作品の特色だと思っています


たとえば、
第一印象はイヤなやつぅ!だった貫一と
少しずつ心を通わせていく過程はキュンキュンしますちゅー


あと、都に無邪気な好意をぶつけてくるニャンくんにも
思わずひとキュンしてしまいますラブ


そして、不意打ちにユーモラスというか
なぜだか笑えてしまう所があるんですね


たとえば、
更年期障害を患い、空虚な気持ちを抱えている都の母・桃枝が
「娘も結婚しないと幸せになれない」という考えを持つ夫に対して
「私はいま特に幸せじゃありません」
と、心のなかで言い返すシーン

ここ、笑った笑い泣き

「いま特に幸せじゃありません」
この、バッサリした敬語が妙に面白くて笑い



あと、恋人の貫一に対してなんとなくモヤモヤを抱えていた都が、
旅先で卓球をすることになり、
おもわず貫一をこてんぱんに打ち負かすシーンハッハッ

ここも笑えましたニヤニヤ


貫一に対して、100%ラブラブ状態ならこんなことにはならなかっただろうに
都の言語化されない貫一へのモヤモヤが伝わってきた




結局、正解を選ぼう正解を選ぼうとすればするほど
いろんなものが見えすぎて、身動きがとれなくなる


案外、自分の直感を信じて心のままに動いたほうが
すっきり心が軽くなるのかも


だけど、だからといってそれが正解とは限らなくて
そもそも正解なんかはなくて


なにを選んでもきっと後悔はあるし
それこそオセロみたいにひっくり返ることだってある


だけどなんとかそれなりにやっていれば
オセロの盤上が全部グレーなんてことにはならないし
逆に全部ピンクじゃなくても良いんだよ


生きてる限り
グレーが増えたりピンクが増えたり、
結末は最後までわからない


そう思うと、なんだか心が軽くなったような。


ここには書きませんが、
都が、最後にあっさり放った「幸せ」についての言葉が
とても好きです気づき



これまで、この本を読むのが怖いと思っていました
もう、新作を読むことはないのだと思ってしまいそうだから


だけど今、その気持ちは消え
過去の山本文緒作品をもう一度読み返したいと思っています


今の私ならではの新鮮な感動や発見があるだろう
この物語をよんで、それを確信したからです。