「炎上する君」
西加奈子
コレの続きです
「トロフィーワイフ」
祖母ひさ江(78)と孫の枝里子(24)はふたり暮らしである
ひさ江は枝里子の若さが眩しい
それと同時に、若い頃の自分が覚えた屈辱が
繰り返し脳裏に甦るのであった
人生も、退屈で変化なく思えるけど
それはそれは毎秒ごとにあらゆる選択に迫られて
これもまた一瞬だ。
選ばなかった人生を、選べなかった人生を
悔やんで悔やみきれないときもあるかもしれない
けれど私は、
そこには「自分が選べた人生」の存在が確かにあると思っている
ひさ江は、
「ただ美しくて若いだけの妻」だった自分を屈辱だと思い返している
そして、来世こそは闘う妻になりたいと息巻く
でもそれは、裏を返せば
現世では窮屈ながらも守られた妻だったということで。
その結果、孫である枝里子と優雅な老後を過ごしている
「もしかしたら」は無限で
狂おしい
いつか、孫の枝里子にも
過去の「もしかしたら」を思って苦悩する日がくるのかもしれない
私にも、そんな日がくるのかもしれない