「炎上する君」
西加奈子
コレの続きです

「炎上する君」
浜中と梨田は、高校の同級生で親友だ
優秀で、大手の会社に勤め、立派な家を持っていることと
「女性」である自分を受け入れられないことが共通している
そんな二人に、
「足が炎上している男」の噂が舞い込む
ついに、本物の「足が炎上している男」に対面したふたりは…

浜中も梨田も、とても優秀な人間である
成績も良く、稼げる職につき、
ある日突然つまらなくなって全部辞めてバンド活動を始めたとしても
それさえそこそこ成功してしまう
だけども二人は、なにかが自分に欠けていると感じ、
常にいたたまれなさを抱いたまま世界を警戒している
それはきっと
女性らしさや一般的な美しさがないと自覚しているからではなく
自分が自分に理解が及ばないこと
自分と世界が溶け込む妥協点が見つからないこと
そしてその状態で、なんとなく世界に混ざるということに納得ができないこと
が理由であるように思う
自分が自分で存在することの居心地の悪さ
「足が炎上する男」の正体は、ちゃんと明かされます
そういうことか!と思います
いざその時がきたら
「炎上する君」に出会ったら
「理由」も「理解」も「納得」も「妥協点」も二の次だ
必死で脱皮を繰り返して
自分でも止められない闘いに出るしかない
もしかしたらそれは、いつかは滑稽だと思った姿かもしれない
だけども、それを笑う権利は誰にもない
