「それは秘密の」
乃南アサ

コレの続きです下差し

最終話
「それは秘密の」


嵐の中、車を運転する男

土砂崩れがおき、隣を走っていたバスが巻き込まれた

バスの乗客の女は、かろうじて這い出し
真っ暗な嵐の夜を、男とふたりで明かすこととなった

なにも見えない不安の中、お互い手を握り
たわいもない会話をする

お互いの素性も、名前すらもなにも知らないのに
男はなんだか不思議な気持ちになるのだった




男も女も、普段はそれぞれ事情を抱え、まったく別の生活をしている

本来なら接点もないふたりである



そういった立場や事情を取り払われ

急速に距離が近くなる一夜の話




大人になると、お互いの生活や自分との違いを一切気にすることなく

新しく人間関係を構築することはまずないように思う


それこそ、この物語のような非常時でもなければありえないこと




自分と似ているか、どれくらい違うか

この人との関係で、自分の生活に支障がでることはないか

まずそこを第一に考えてしまうような気がする



仲のいいママ友でも、家の大きさや子供の成績については触れないとか

ちょっと良いと思った異性でもお互い家庭があるから深入りしないでおこうとか

イメージ的にそんなかんじ?




だから、この物語のふたりの

不思議な一夜はこの瞬間限りの奇跡であり



だからこそ

お互いに記憶に残りつづけそうだと思った


 

 



 

 



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