「本日、サービスデー」
朱川湊人
コレの続きです

「東京しあわせクラブ」
ある作家の男が、ひょんなことから参加することになった
「東京しあわせクラブ」の集まり
そこでは、メンバーが持ち寄ったコレクションを品評会をする
それは、事件や事故の遺留品、被害者や加害者の遺したモノ
それらの信憑性、レア度を評し愛でる会
生死をわける線は実はとてもあいまいで
今現在、自分が生きていることはとても幸せなことだと実感する会であった

胸糞悪い会だな
不幸な事件事故の残り香を嗅ぎ回って
「ああでも自分は生きてるんだ幸せェ~!」ってなるか?
生死の境はあいまいで、もしかしたら次の瞬間にもそこを飛び越えてしまうかもしれない
というのは私も日々実感している
志賀直哉の「城の崎にて」もそんな小説
でもそれって恐怖でしかないよね
考えるだけで具合が悪くなりそう
だから命を大切に生きようとは思うけど
なるべく不幸なことは考えないようにしている
「東京しあわせクラブ」の面々は
いびつな喜びを共有し
そのうち、歪んだ自己顕示欲が暴走しはじめる者が現れる
つまり、「不幸のかけら」を拾って眺めるだけには飽きたらず
自分から不幸を探しにいきたい
なんなら不幸を作り出して見せびらかしたいと考えはじめる
結末は、なんだか背筋がゾッとした