「あいまい生活」
深沢潮

コレの続きです下差し


「さくら」


ティラミスハウスの住人、さくら
他の住人とも馴れ合わず、寄せつけずに暮らしている


暴力・過干渉・搾取・貧困の毒親のもとで育ち
精神を病んでいる

生活保護受給家庭だった実家を必死で抜けだし就職したにも関わらず
倒産や派遣切りに遭い

とうとうさくら自身も生活保護を申請することに

生きるためには、仕方がない
だけど、さくらはすべてを憎まずにいられなかった




「本人の努力次第」

「本人のやる気次第」


簡単にこの言葉で片付ける人は

当たり前に与えられてきた人なのだろう



お腹が満たされ、清潔で安全な寝場所

自分と、誰かの何気なく温かい言葉のやりとり

理由もわからないまま、誰かに突然痛みや辱めを与えられない尊厳


これらの物を。



その後の人生でいくらでも取り返せると言う人もいるだろう

確かに、取り返すこともできるけど


それは想像以上に過酷である



当たり前を当たり前に与えられなかった者たちは

誰かを信じるということがわからない

自分を信じることができない


ここぞ、というときに踏ん張るための底力がはじめから残っていない



生活保護はこういう人にこそ有効に使われるべきだと思うが

さくらにとっては

生活保護=実家レベルに堕ちる

ということで、許しがたいことであった



さくらはなにも悪くないのに

すべてのツケがさくらに来ている


さくらが心に溜めた真っ黒な憎しみをSNSで吐き出すところが

なんだか共感できた




 

 



 

 



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