「あいまい生活」
深沢潮
コレの続きです

「風香」
ティラミスハウスに住む劇団員、風香
古株住人であることから、ハウスの中では明るくまとめ役である。
だけど、ハウス以外の場所では
所属する劇団でも、学校や育った家でも
いてもいなくても同じ存在と軽視されてきた。
唯一かわいがってくれた祖母もずいぶん前に亡くなった
一話の樹が、ティラミスハウスを劣悪な環境だと感じていたのに対し
風香にとってはたったひとつの、
「見えない人」扱いされない場所だというのが対照的だ。
だからといって、
心癒せる暖かい場所というわけでもなく
むしろ、この狭いシェアハウスでだけは
虚勢を張って自分以外の誰かを見下したいという気持ちである
残念だが、
誰かを気遣い優しさを分けてあげられるのは余裕のある人だけ。
風香は狭くて閉じたシェアハウスの人間関係しか持っていない
そこに逃げ込み、卑屈な虚栄心と底辺のマウンティングをするのが精一杯だ
