「さいはての家」
彩瀬まる
コレの続きです

「ままごと」
突然、婚約破棄した姉の満と
「優しい彼氏」に嫌気が差した妹の朔は
古い平屋に逃げ込んできた。
ワンマン社長の父、一人息子の弟
ぼんやりと親のいいなりになるだけのはずの姉、
賢くて父にも認められているはずの妹。
だけども、この平屋に引っ越してからは
どうしたものか
頼りないはずの姉はどんどんたくましく生き生きとし
聡明なはずの妹はすべてに行き詰まりを感じるようになっていた

悔しさ、屈辱感が当たり前の環境で育つと
自分が本当は悔しくて屈辱的だったということにもなかなか気づかない
気づかぬうちに、心のどこかがとても卑屈になっている
朔の「優しい彼氏」もかなり卑屈な人なんだけど
そういう人を引き寄せてしまったり
うっかり深く関わってしまう
お前には出来ない
言われた通りに生きればいい
これらは呪いだ
ままごとのコマにするための
役割を押し付けるための
この古い平屋にきて、
姉姉は呪いを断ち切った
妹のために勇ましく戦う姉の姿は、最後の一番強固な呪いをぶった切った
最後、ふたりは平屋を出ていく
ただ、他の章の住人たちとは違い
新しい行き先がいくらでもある明るい門出だと感じた
私は
この章がいちばん好きである。