「さいはての家」
彩瀬まる
コレの続きです

「ゆすらうめ」
下っ端のチンピラ、匠
ヘマをやらかし、組を追われ、命を狙われている
自棄になり、タクシーを強奪しようするが
そのタクシー運転手は小学校の同級生、清吾だった
清吾は行き先のない匠に
小さな古い平屋を用意する

片親で、貧しい暮らしをしていて
とても似た境遇だった匠と清吾
しかし、匠の母親とは違い
清吾の母親は母子家庭の厳しい生活のなかで、精一杯息子を愛した
そのことだけが、ここまでふたりの運命を分けてしまった
そう考えると悲しい
親ガチャ…ってやっぱりあるよ
裕福かどうか、両親揃ってるかの問題じゃなくてだよ
清吾は幼い頃の境遇からか、誰かの痛みに敏感だ。
そして、その清吾が一番助けたいと思ったのは
他でもない匠だったのだ
清吾のタクシーに、匠が乗ったのは偶然だけではないはずだ
匠は地を這うようにして生き延びてきて
「汚い」と言われるような手段でも、生きるためにはそれが正義だった
だけど、
匠が小学生の頃、いじめられっ子だった清吾を助けたように
匠はこの夜、「美しい家」を守った
そこには、匠にとっての「家族みたいな何か」がある家だった
いつかまた、匠がこの「美しい家」で
庭のゆすらうめを眺める日が来ることを祈らずにいられない