「母親病」
森美樹
コレの続きです

最終話
「家族のきずな」
便利屋のような仕事で、その時その時で身分を偽りながらその日暮らしをする
浮草のような若い男、雪仁
母親に虐待され捨てられた過去を持つ
かりそめの愛を交わした老女、園枝は
赤い毒の実を食べて変死した。
園枝の死後の日々。
雪仁のもとに、園枝の娘だという珠美子から連絡が入る

ここまで、死んだ園枝の周囲に妖しげにちらついていた若い男
雪仁が主人公
母親に虐待され捨てられた過去から
家庭的なものへの強烈な拒絶感とともに強烈な渇望を抱いている
最終話にして、一話目の珠美子と雪仁がつながるのは意外でしかなかったが
(え?その二人がそんな感じになるの?っていう)
珠美子もまた、母親という生き物への葛藤に苦しんでいるという意味では
雪仁と似ていたのかもしれない
いびつすぎてどこからツッコんでいいかわからないが
二人につかの間の平穏が訪れ
最後のページには、ひとつもその記述はないはずなのに
なぜか私には毒の実の赤い色が鮮やかに見えた気がした。
どうかその赤い色が、すこしは二人を救いのあるほうへ導いてくれたらと
なんとなく願ってしまった
