「主婦病」
森美樹

コレの続きです下差し

「まばたきがスイッチ」


市役所勤務の夫と、なに不自由ない「手堅い結婚」をしたはずの美津子
悠々自適の専業主婦
 
と、見せかけて
テレクラのサクラのアルバイトをしている。

お金が貯まったら
もし百万円貯まったら…



「百万円」という額が、

絶妙な心のラインだと思った



女が、すべてを捨てるための百万円。



簡単なお金ではないし、

だからといって、一生かかるほどのお金でもない


実際は、

たとえ無一文でも飛び出す女はいるし

逆に何百万と持っていても、はみ出せない女もいるだろうが



だけどだれでも

いつも心にぼんやりと「いざという事態」を想像してはいないだろうか?



それこそまばたきくらいの心の揺れで

「いざ」のスイッチがはいるかもしれない



そんな不安をかかえたときに

「百万円あれば」「百万円貯まるまでは」

という「めやす」は

勇気づけるものでもあり、ストッパーにもなるちょうど良さだと感じた




ちなみに、この章での「金髪の男」は

美津子の家の向かいのビルに住む男性



美津子とは毎朝、洗濯を干す一瞬にベランダで顔を合わせる

たったそれだけのことが、美津子の生活においては重要な一瞬であった

  


金髪の男は、美津子にとって

「最後のジャンプ台」が欲しいという気持ちの具現化のように感じた