「君に言えなかったこと」
こざわたまこ

コレの続きです下差し

最終話
「君に言えなかったこと」


 あかりの母親が急死した。

あかりは母親の再婚相手、浮田に呼び出され
母の家の整理をすることになった

ピアニストだった母
あかりの父親と結婚し、ピアノを辞めた
 
母として妻として、完璧だったが
あかりは母親に愛されていないように感じていた

母と離婚したあかりの父親も、たぶん同じ思いを抱えていた

あかりは、母にも再婚相手の浮田にも、わだかまりを抱えている




完璧じゃないと許せない

自分にも相手にも


その苦しさが、あかりと母は似たもの親子だったのだと思う



自分で努力できる範囲内ならなんとかなる。

だけど、自分以外の人の気持ちや行動はコントロールできない



そんなあたりまえのことが許せない



だけど、

完璧じゃないものにも愛はある



うまく弾けないピアノ

完璧じゃない家族



あかりも母も、

うまく愛せなかったかもしれないけど、確かにそれらを愛していたのだと思う



ふたりは結局、本当の気持ちを伝えあえないままだった


だけど、それでよかったのかもしれないと私は思う