「君に言えなかったこと」
こざわたまこ

コレの続きです下差し

「君の正しさ」


よく言えばおおらか、悪くいえば適当なコンビニ店員の浩平は
ある日の早朝、ミントタブレットを万引きしようとした中年の女を捕まえた

みすぼらしく、なんとなく異様な雰囲気のその万引き犯を
思わず見逃してやったのをきっかけに

その女と浩平の奇妙な交流が始まる




「自分が正解かわからない」「そもそも正解ってなんだろう」

「自分はおかしいのではないか」「そもそも普通ってなんだろう」


浩平と万引き犯の女(まき)はそんな迷いをもっており

そこが共通点でもあった



そしてそれは、読み手である私自身の迷いでもある

常日頃

「なるべく普通に見られたい」
「なるべく間違えたくない」
という欲求が強く、それはもう恐怖心に近いくらいだ


そのわりに、なにが正解かもなにが普通かもイマイチよくわかっていない

真っ暗な闇のなかで、見えない敵に闇雲にパンチしているようなものだ


そして私は知っている
ちょっとしたきっかけで、人はいくらでも
「間違え」たり、「おかしく」なってしまうこと。


その場の雰囲気に流されまくり、超テキトー人間の浩平もヤバいし
気軽に万引きするまきもヤバいんだけど

「正しい」側の人間とされてる
浩平の恋人が、痴話喧嘩の勢いで料理を鍋ごとシンクにぶん投げたり
バイト仲間の松家が、正義感のあまり厭味を言ったり聞こえよがしに悪口を言ったり

そこだけ切り取れば
充分「ヤバい」人たちですよね
 


私だって、ブログではなるべく明るく愉快に
文章を書くようにしてますけど


夫や子供とケンカしてブチ切れたり、
家の外でもムカつく人にわりと心から死を願ったりして
充分ヤバいですからね


だから怖い
なにがヤバくてなにが普通なのか

誰か世界基準を決めて欲しいとまで思う


「夫婦喧嘩ならハイキックまでは普通!」とか
そしたら自信満々でハイキックします
滝汗しません


そんなこと悩む時点で異常なのか…

誰か私に「普通」をちょうだい!