「友がみな我よりえらく見える日は」
上原隆
コレの続きです

「リストラ」
上原は、居酒屋に集まった数人に話をきく
現在の職業は、みんなバラバラ
だけど彼らは昔、同じ会社に籍を置き
リストラされた同じ経緯をもつ者たちだ

彼らのリストラは
わかりやすく解雇通告される類のものではなく
形ばかりの「営業部門」に集められ
売れるはずのないとわかりきった製品を売る仕事をさせられたり
デスクは会議室用の長机をあてがわれたりする
それでも彼らはすぐに退職をせず
不満と不安を抱えながら状況を理解し適応しようとした
残酷なやり方である
会社側にもやむにやまれぬ都合があったとはいえ…
たくさんの社員がいる中で、どうして自分が選ばれたんだろうという絶望
自分は必要のない人間なんだと見なされたんだと認める瞬間
それは、その後にどんなに晴れがましい再就職をしても
簡単に消せるものではないように思う
だけどルポは、全体通して恨みや悲哀に偏ることはない
今も定期的に集まり「昔話」としてひどい会社の愚痴を言い合う彼ら
最後には、いまの仕事をまたがんばろうと言い合い解散する彼ら
なにか心をくじかれることがあっても
良くも悪くも、人生はその後も続いていくんだ、ということを
全編通して強く感じました