「友がみな我よりえらく見える日は」
上原隆
コレの続きです

「登校拒否」
カズくん(定時制高校二年)は、中学時代の二年間、不登校だった
集団行動が苦痛
だれかに顔を見られるのが苦痛
カズくんはいつからか、不思議な四コママンガを描くようになった
モチーフは自分
まわりとズレているしんどさ
どうして生きているんだろうという心許なさ
そんなシュールなマンガ
だけどカズくんは言う
「マンガにすがりつてないとダメになりそう」
子供時代の数年は、大人の数年にくらべてとても濃い
そこでのつまづきが、その記憶が
薄まることなく人格の根本に居座ってしまうことがある
客観的にみれば、つまづきですらなく
周囲と少し違っただけ、というそれだけのことも
消化するのに信じられないほどの時間を要したりする
それでも、この章においても
カズくんをひとくちに不幸だとか幸せだとか決めつけてはいない
カズくんは今ももがいている
カズくんにはマンガがある。
それが、ありのまま描かれている
だけど私は思う
いつかもっと広い世界が見られるよと
その世界にも苦悩はあるけど、
でも今よりうんと広いよって
そんな声も、そのときは耳に入らないかもしれないけど
