「友がみな我よりえらく見える日は」
上原隆

コレの続きです下差し


「ホームレス」


新宿駅西口地下街に住むホームレス、片山

以前は有名な工務店に勤め、家族もいた
後輩をかばい上司を殴り、退社した

ホームレスの生活も、そう悲壮なものではなく
ちいさな小銭を稼いだり、ホームレス仲間の相談に乗ったり、それなりに忙しい

昔の家族の話は、もうだいぶ曖昧になっている



「かわいそうに」

「つらいだろうに」

そのような切り取り方で彼を描くのは実に簡単だと思う


だけど、他の章もだけど

筆者はそのような意図的な切り取りはしない




ホームレスになり、それなりに毎日いきいきと暮らしている片山

そしてそんな彼に

「みじめにならない?」と実に率直に尋ねる

 

ホームレスとはみじめなものだ、と始めから決めつけていたら

逆にこの質問はしないのではないかな



片山というホームレスは

後輩のために上司と闘う熱血漢である一方

妻子がありながら浮気をし

友人からの酒の誘いを断れずアルコール中毒を悪化させた



人間なんて、矛盾だらけなものだとよくわかる

ここに脚色がないことがよくわかる


誰しも、何年も生きていたら、綺麗なだけの矛盾のない人間なんていない


片山を自業自得だとするのも簡単だと思う

(個人的には自業自得だと思いましたけど…)



だけど、片山本人は

ホームレスの生活をそれなりに楽しんでいる様子


部外者がとやかく言うことではないのだと思った